マーケティングの成果を左右する「3つのM」

マーケティングの成果を左右する「3つのM」

「マーケティングに最も必要なものは何か」と聞かれたら、あなたは何と答えますか?

綿密な市場調査? あるいは商品力? それとも広告費でしょうか?

確かにこれらは、マーケティングと密接な関係にあるものばかりです。しかし「最も必要」とは言えません。どれだけ市場調査を重ねても、いかに商品力を高めても、十分な広告費があったとしても、それだけでは何もできないからです。

では、マーケティングで成果を出すために最も必要なものとは何か。
それは、Market(マーケット)・Message(メッセージ)・Media(メディア)という3つの要素です。

これは「億万長者メーカー」として知られるアメリカのトップマーケター、ダン・ケネディの提唱する手法で、「マーケティングを成功させるにはこの3つに一貫性を持たせなければならない」というものです。

では、詳しく解説していきましょう。

Market(マーケット)

マーケットとは市場選び、つまり「誰に売るか」ということです。

これが明確にならないと、先に進むことができません。「魚釣り」をイメージすると分かりやすいですが、何を釣りたいかによって行き先は違ってきますよね?

それが海の魚であれば、川へ行くという選択肢はありません。さらに浜辺で釣れるのか、それとも船で沖へ出る必要があるかで準備する道具も違ってきます。魚によっては日本海ではなく太平洋側でしか釣れない、といった話にもなります。

「老若男女問わず、あらゆる人々が顧客だ」というのは、「何を釣りたいのか分からない」と言っているのと同じです。単なる暇つぶしであれば、それでもいいでしょう。しかしあなたが漁師の立場なら、そんなスタンスで海に出たりはしないはずです。

おそらく対象を明確にしたうえで、それに合わせた仕掛けと装備を整えるのではないでしょうか。狙う魚が決まっていればこそ、どこへ何時ごろ船を出すのか、どのタイミングでどの仕掛けを使うかといった戦略も立てられます。

要するに、マーケット(顧客)が明確にならないうちは何も始められない、ということです。

Message(メッセージ)

「誰」が顧客なのかが分かれば、届けるメッセージ、つまり相手を振り向かせる方法も自ずと決まります。例えは悪いですが、釣りたい魚が決まれば、選ぶべき餌や仕掛けが決まるのと同じです。

多くの会社がマーケティングで成果を出せないのは、魚を釣るのに餌を付けていなかったり、間違った餌を付けていたりするからです。

例えば、化粧品や健康食品の通販で無料サンプルを配る、初回は半額にする、返金保証をつけるといったことをしなかったらどうなるかは、容易に想像できます。間違った餌というのは、独身女性の興味を引くのに節税対策のレポートを送るようなものです。女性からの反応を得たいのであれば、ダイエットに関する資料を送る方が確実でしょう。さらに「結婚式に向けて」、「水着を着るのが怖いですか?まだ間に合います」といった見出しをつけることで、訴求力を上げることもできます。これは、「私のための商品だ」と感じさせることの効果です。

万人向けのメッセージというのは、言うなればフリーサイズの洋服です。誰でも着用できる一方で、すべての人にフィットすることもありません。「自分にピッタリ」な洋服に比べると、どうしても魅力に欠けます。

「これは私のためにある商品だ」と思わせるメッセージかどうかは、重要なポイントです。

Media(メディア)

マーケットを「狙った魚」、メッセージを「餌」とするなら、メディアは「竿を垂らす場所」です。見当違いのところへ餌を投げ込んでも、魚は釣れません。ですから、いつ、どこに餌を投げ込むべきかを見極める必要があります。

テレビ、雑誌、ウェブサイト、DM、中吊り広告、チラシ、動画サイト、クーポンアプリ、宣伝カー、Eメール……。すぐに思いつくものだけでも、これだけのメディアがあります。ビジネスによって選ぶべきメディアは違いますが、答えを知っているのは顧客自身です。

例えば、大学生に文具を売るなら、手っ取り早いのは大学の敷地内で販売することです。大学生がよく使うアプリに広告を出すのも効果的でしょう。講義で使われる専門書などを扱っている会社と提携することも考えられます。

あなたの顧客は、どこに行けば会えるのか、どこから情報を得ているのか、どこにメッセージを出せば相手に届くのか。それが分かれば、適切なメディアを選ぶことができます。

まとめ

Market(マーケット)、Message(メッセージ)、Media(メディア)。

もしあなたが、マーケティングで成果を出したいと考えているなら、まずはこの「3つのM」に一貫性を持たせることです。それができれば、最小限の労力とコストでビジネスを成長させることができるでしょう。 

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参考:

 

著者プロフィール

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倉園新也
ビジネス書作家・ブックライター。主に経営者の自伝を手掛けており、ノウハウ本や販促ツールとしての自伝をプロデュースしている。著者である「繫盛店をつくる7つのルール(セルバ出版)」は、食品会社の教育資料として採用された実績を持つ。方向オンチのくせに旅行が好きという困った男。愛読書は「孫氏」と「ワンピース」。

 

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