ポイントは4つ!ライターの執筆力を高める編集フィードバック方法

ポイントは4つ!ライターの執筆力を高める編集フィードバック方法

編集者の仕事のひとつである、原稿チェック業務。文法的な間違いや誤字脱字、読みにくい箇所、表記の統一、情報を確認し修正をする、いわゆる「校正」を行うのが基本です。ただし、魅力的な記事に仕上げるには、文法や誤字を正すだけでは足りないこともあります。

記事を作成する際は「読者に刺さる記事を作る」ことを前提としているはず。記事チェック時は「読者層に合っている内容・表現か」「記事を書く目的や伝えたいことは明確か」の二点は、常にチェックしておきたいところです。

編集作業に慣れてくれば、意識せずとも「なんだか内容が伝わりにくいな」「読者に合っていない表現だな」とすぐにわかるようになるものですが、最初は意識してチェックしたほうがいいかもしれません。

今回は、その二点を含め、ライターへのフィードバックのコツを紹介します。

読者層・ペルソナを意識してもらう

文章を書くうえで、もっとも大切なことといえば「誰に向かって書いているのか」を意識することです。わかりやすい例えでは、ビジネスパーソン向けなのか学生向けなのか、20代に向けなのか40代向けなのかで、同じテーマを書くのでも、細かな表現はもちろん、場合によってはまったく違う内容の記事になることもあるでしょう。

基本中の基本であるため「そんなこと当たり前じゃん!」と思ってしまうかもしれません。しかし、編集をする立場で各プロジェクトなり媒体なりの記事を、いくつも目したり企画を考えたりする編集者と、複数の媒体で執筆をしているライターとでは、読者イメージの理解度には差があります。ベテランのライターや、その媒体で長年執筆しているライターばかりでない限り、編集目線で当たり前のことが、ライターにとってはそうでないことがあるのです。

また、20代向け、ビジネスパーソン向け、といったざっくりとした属性だけでなく、可処分所得や趣味志向など細かい読者イメージ・いわゆるペルソナを掲げている媒体も多く、ライターにペルソナが正確に伝わっていない場合も少なくないです。

なので「読者に合っていない表現だな」という箇所があったら、修正してもらうだけでなく、フィードバックの際には読者イメージも丁寧に伝えましょう。

記事を書く目的・何を伝えたいかを意識してもらう

記事を書く目的や、対象物(商品やスポットなど)の魅力などが曖昧なまま執筆をすると、曖昧な原稿に仕上がってしまいます。なので、記事の目的や何を伝えたいかを明確にすることは、執筆するうえではとても大切です。これはフィードバックというより、原稿の依頼時や、ライターから企画の提案があった際などに、できる限り具体的に企画意図や内容を詰めて共有しておくことがとても大切です。また、Webメディアでは、SEO目的かニュース記事か、ファンを作るための記事なのか、といった記事のジャンルを明確にしておくことも必要でしょう。

ただ、実際に使用した感想を書く商品レビューや、内容が取材次第など、ある程度の内容をライターにお任せすることもあります。

困るのはそのような記事で「何を言いたいのかイマイチわからない」「商品(あるいはスポット等)の魅力が伝わってこない」という原稿だったとき。

私の過去の経験の一例ですが、ズバリ「商品の魅力は何ですか?」「面白いと思ったポイントはどこですか?」などと、ライターにヒアリングしてしまいます。そしてそれらを中心にまとめるようにお願いします。あまりにも内容が漠然としている原稿は、おそらくライター自身も曖昧なまま執筆しているからです。

修正箇所には根拠を添える

誤字脱字をのぞき、修正箇所は根拠を添えて伝えるのが基本です。その主な理由は2つあります。

まず、何度も同じような修正をすることを防ぐためです。ただ「こちらを修正しました」「ココをなおしてください」だけでは、なぜ修正が必要かがライターに伝わらずに、同じミスや要修正箇所が発生する可能性があり、効率が悪くなります。また、ライターへの了解を得る意味もあるでしょう。勝手に大幅に書きかえられていたらびっくりしますし、蔑ろにされたと感じる方も中にはいるかもしれません。

慣れないうちは、修正する理由を言語化するのは、なかなか骨が折れることもありますが、怠らずにがんばって伝えましょう。

感謝や褒めることを忘れずに

ライターや編集の仕事をやっていてたまにふと思うのですが、2、3分で読めてしまうものでも、それにかかる労力といったら(どんな仕事もあることかもしれませんが……)!

ということで、ライターへは、感謝の気持ちをもって接しましょう!また、原稿を読んでいて、「おもしろいな」「役立ちそうだな」「これは取材大変だったろうな」と思ったら、感想や労いの気持ちも伝えています。ライターさんのモチベーションアップにもつながりますし、業務的なやりとりだけでなく、コミュニケーションをとれたほうがこちらも気持ちよく仕事ができ、良好な関係を築きやすいと思います。

 

ライターと編集者は切っても切れない関係。ライターの執筆力を高めるためにも、よりよい記事を作るためにも、ぜひ参考にしてみてください。

 

著者プロフィール

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若松真美
ライター・編集者。女性向けライフスタイルWebマガジンなどで編集・ライティングののち、近年は主にトラベル関連のWebメディアで活動中。古建築好きで古民家住まい。趣味は占星術と読書、旅行。

note:https://note.com/tanukotanuki
Instagram:https://www.instagram.com/mamisobats/

 

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