海外旅行中の仕事はどうする?インドで過ごしたプチノマド体験記

海外旅行中の仕事はどうする?インドで過ごしたプチノマド体験記

2018年1月にインドはバンガロールに10日間滞在してきました! ヨガの研修を兼ねての渡航でしたが、複数の案件で納期が重なったこともあり、ライター業務も持参することに。


バンガロールはインド、デカン高原南部にある都市

フリーライターの仕事は、場所を問わずパソコンがあれば作業が可能で、旅先で仕事ができるのも魅力のひとつ。
とはいえ、旅行先が海外となると不安はつきものですよね。時差の影響やネット環境など、予期せぬハプニングが起こるかもしれません……。今回は、場所を問わずライター業を続けたい人に向けて、海外旅行中のお仕事事情についてお伝えします!

海外旅行中に仕事をするなら「Wi-Fiレンタル」は必須

Web上で原稿をやり取りするライターや編集者にとって、インターネットは生命線。原稿が書けても、クライアントに送れなければ意味がありません。

国内であれば、ちょっとしたカフェやホテルに立ち寄って、フリーWi-Fiを利用することも可能ですが、海外でのWi-Fiスポット探しは意外と手間がかかります。私の場合、インドというお国柄とともに、ほぼ研修会場内で過ごす予定ということもあり、近隣でWi-Fiスポットを探すのはかなり難しい状況でした……。

海外でのネット環境を確実にするために利用したのが、現地で使えるWi-Fiのレンタル。海外ローミングを利用した携帯からのデザリングは割高になりやすいので、専用機器を借りてみました。国内で手続きできるため安心感があり、レンタル会社によっては後払いも可能です。空港内で受取と返却ができるので、スムーズに利用できました。

滞在地の主要言語が堪能で、長期滞在を行うのであれば、日本国内でSIMフリーモバイルルーターを事前に購入しておき、現地でSIMを購入する方法もあります。料金的にも現地で購入した方が割安ですが、SIMの購入には身分証明が必要であり、怪しげな店でパスポートを提示するのは不安が残るかもしれません。慣れない海外での仕事をスムーズにこなすためにも、国内でレンタル手続きを済ませておくと安心ですよ。

Wi-Fiをレンタルする際の注意点

海外Wi-Fiをレンタルするといっても、多くの会社があり、どこを選べばよいか悩むかもしれません。私自身、数社のレンタルサイトを見比べながら、迷いに迷って決定しました。結果的に、選ぶ基準となったのは以下の2つのポイントです

現地で安定してネットがつながるかどうかがカギ

なにより、滞在先で安定してネットがつながるのが前提条件。それぞれのレンタル会社で対応する国を紹介されていますが、個人レビューをリサーチしてみると、案外、バラつきがあるようでした。そこで、私がとった行動は、研修ツアーの主催者に問い合わせて、おすすめのレンタル会社を紹介してもらうこと。何度も現地に足を運んでいる主催者だからこそ、納得できる選択肢に絞り込めました。現地利用した知り合いがいないのであれば、レンタル業者に詳しい滞在地域を伝えて相談してみるのもいいですね。

予定する作業内容で必要な容量は変わる

結果的に、今回利用したのは、グローバルWiFiさんの「インド4GB LTE大容量」プラン(10日間の利用で、保証付き18000円ほど)

原稿作成に必要な初期リサーチを済ませて出発したので、ほぼメールのやり取りと、原稿のアップロードなどに使用する目的で選択しました。悩みに悩んで、大容量のプランを選択しましたが、余裕を持たせておいて大正解。

当時、滞在中に納期を迎える案件は3つあり、編集者として10本の原稿をチェックする予定の案件が1つ、ライターとしてアウトライン2本と原稿2本の作成を行う案件がありました。現地でのリサーチを極力を減らしたつもりでしたが、それでも実際の作業中に15分ほどの再検索を行う必要が出てしまい、それだけで1GB以上を消費することに……。滞在5日目で半分以上の容量を使ってしまったため、後半はかなりドキドキするはめになりました。しかし、ありがたいことに、その後は大きな作業もなく、最終日に残っていた容量は0.9GB。何とか間に合ってホッとしました。

実際には、家族へのメール連絡や写真のアップロードといった個人利用もありましたが、そこでの使用量は微々たるもの。記事作成に必要な情報を再確認するために、ザッピングしながらのリサーチでしたが、たった15分程度の利用で、これほど容量が必要になるとは思いませんでした。

短時間の集中的な利用にかかわらず、なぜこんなに容量を使用してしまったのか、その原因は明らかではありません。特にPDF等のダウンロードなどは行っておらず、自分自身でもびっくりでした。ただ、複数のタブでサイトを開いたまま、リサーチを続けたことが影響しているかもしれません。作業内容にもよりますが、やはり余裕を持って、多めの容量を選択する方が良さそうです。

ホテルのWi-Fiはどこまで利用できるのか?

レンタルWi-Fiの容量が不足したら、滞在するホテルのフリーWi-Fiでフォローしたいと考える方もあるでしょう。でも、滞在先によっては注意が必要かもしれません。

ホテル予約時にWi-Fiが利用できるかどうかを確かめておくのはもちろんですが、個室での利用も可能かどうか合わせて確認しておくのがおすすめ。ホテルによっては、ロビーでの利用は無料で使えても、個室での利用は有料になるところがあります。しかも、夜になるとロビーが消灯で作業ができない可能性も! ホテルに設置されたWi-Fiだけを頼りにしていると、予期せぬ出費があるかもしれません。

今回は、研修宿泊施設に無料でWi-Fiが設置されていたのですが、かなり重かったり、不安定になったりして、仕事には使えないかなという印象でした。待てども待てども全くつながらず、結局、レンタルWi-Fiでつなぎなおして通信していました。

フリーWi-Fiが使えるカフェで仕事する?

インドでも、カフェやレストランでフリーWi-Fiが利用できる店舗が増えているようです。滞在国によって状況は変わるかもしれませんが、インドでは、電話番号でのSMS認証を求められたため、あえなく断念。実際に利用することはありませんでした。

インドに滞在している知人に聞いたところ、個人経営の店舗でフリーWi-Fiが利用できるところは、そうした認証が不要なところもあるのだとか。ただし、そうした店舗は現地の人も多く、置き引きも乱発しているので注意する必要があるようです。カフェで作業する際には、パソコンの画面に集中している間に、大切な荷物がなくなる可能性があるので、財布やパスポート類は肌身離さず持っておきましょう!

トランジット中のネット環境

今回は、滞在したのはインドのみでしたが、タイでのトランジットが5時間もあり、そこでもメールと原稿のチェックを行う予定にしていました。ここでも、課題となったのがネット環境です。

最初から2か国以上に滞在する予定であれば、滞在先すべてに対応するWi-Fiをレンタルするのがベスト。しかし、2か国プランはその分費用もかかり、今回のようにトランジットのためだけに、レンタルするのはもったいない……。

そこで、色々リサーチした結果、空港内で利用できるフリーWi-Fiがあることを知り、使ってみました。空港内のWi-Fiは、ある程度、安定した環境だったのですが、なぜかノートパソコンで接続設定すると制限がかかり、ほとんど使えず残念な結果に。タブレットに切り替えるとスムーズだったので、相性もあるかもしれません。

空港で利用できるフリーWi-Fiは、パスポート番号を入力する必要があったり、利用できる時間が決められたりします。トランジットの時間や状況にもよりますが、作業内容を限定し、タイミングを見てつなぐのがおすすめです。

海外ならでは……停電の恐怖!

インドに限らず、海外では停電が起こることも少なくありません。日本の安定した電力供給はまさに夢のよう。インド滞在中においても、ほぼ毎日のように停電が起こっていました。が、ありがたいことに、停電になるのはたいてい朝方で、10分前後で復旧していたので、問題なし。今回は大きなトラブルにはなりませんでしたが、充電が不十分なノートパソコンを使用している場合、停電によってデータが飛ぶ可能性もありますよね。海外での作業はローカル保存だけでなく、USBを持参して、小まめにバックアップするようにしておきましょう。

クラウドへの保存について

データ保存のうえで、クラウドを利用する方もあるかもしれません。便利ではありますが、貴重な情報であれば、できるだけローカル保存をしておきたいところ。また、クラウドへのアクセスでもWi-Fiの容量を使ってしまうので、上手に活用する必要があります。

といっても、クライアントによっては、クラウドを通してやり取りをするのが前提になる場合もあります。そんなときは「オフラインアクセス機能」を使うように事前に設定しておくのがポイント。有名どころだと、DropBoxやGoogleドライブなどには、オフラインで保存や更新ができ、オンラインになった時にアップデートしてくれる機能がついています。ただし、機能はあっても、事前に「オフラインアクセス可」の設定をしておかなければ使えません。こうした設定もネットにつなぐ必要があるので、国内で事前に済ませておきましょう。

時差を考えた作業スケジュールを考えよう

海外での作業で一番注意したいのが、時差の問題です。

インドと日本の時差は、3時間半。ヨーロッパやアメリカと比べたら、かなり身近に感じられる範囲ですが、それでも期限内に進行するのであれば、小まめなチェックは必須です。

日付変更線に近い日本は、他国より日付が進んでいます。日本のクライアントが提示する納期よりも、海外ではかなり早い時間に締切が迫ることになるため、余裕を持って進めておいた方がよいでしょう。ギリギリの提出を考えていたら、停電で作業がストップする可能性も。どうしても提出のタイミングが合わない場合には、事前に旅行に行くことを担当者に伝え、自身が提出できる時間を提示・相談しておくといいですね。

リアルタイムコミュニケーションのコツ

海外での作業で困るのが、リアルタイムでのコミュニケーションが難しい時間帯があること。日本にいる担当者に確認しないとわからないような問題が発生した時に、時差の影響ですぐに回答が得られない場合があります。逆に、至急の連絡が来ても、対応が遅れることもあるでしょう。

就寝時間の違いにより、どうしてもリアルタイムでの連絡が取れないのは、正直なところ難しい問題です。解消する方法としては、やはり余裕を持って進めるしかないのかもしれません。納期ギリギリのスケジュールで作業を進めてしまうと、即回答がないとストップしてしまいます。

私自身、編集担当として、滞在中に複数のライターさんとのやり取りがあったため、LINEやSkypeといった無料通話で直接連絡いただける方法があることを伝えていました。同様に、担当者の方ともLINEやSkypeといった無料通話ができる環境を整えておくといいかもしれません。時差を考慮しつつも、旅行期間中は、早朝や深夜に連絡をすることが可能かどうか確認しておきましょう。

とはいえ、先方から通話連絡があったとしても、こちら側としてはWi-FiがONになっていなければ受け取ることはできませんよね。就寝中に連絡があり、翌朝に着信に気が付いた場合には、時差を考えつつ、コールバックするか、一旦メールチェックを優先し、状況を確認すること。そのうえで、やむを得ない場合には、通話料金がかかっても、電話をするしかありません。

私自身、結果的に、時差が影響するような大きなトラブルもなく、即対応が必要な状況もなかったため、問題なく進行できました。これも、スケジュールに余裕を持たせた結果だと感じています。あとは、日頃から担当者さんと良い関係を築いておくことも大切。海外渡航時に限らず、何らかのトラブルが起こった場合でも、信頼して対応をお願いできる関係性は大きな安心感がありました。

機器を使い分けて、作業効率を高めよう

海外旅行中に特に活躍してくれたのが、タブレットの存在です。今回、持参したのは、ノートパソコンとタブレット、スマートフォンの3種類です。実際には、スマートフォンはカメラ代わりに使うのみで、パソコンとタブレットで作業をしていました。

いくつかの機器を持っていくことのメリットは、充電できているメディアを使い分けられることと、ファイル保存の容量を分散できることの2点。海外では電源タップの違いにより、充電にも時間がかかる場合があり、また、旅行中に撮影した写真のストレージで容量が満杯になっても、メディアを変えることで保存が可能です。

観光中にすべての機器を持ち歩くことは大変ですし、携帯しやすいスマートフォンやタブレットがあると、活用の幅が広がります。また、万が一、いずれかの機器が壊れてしまっても、連絡を取れる手段があると安心ですよね。

加えて、前述したとおり、タイでのトランジット中は、パソコンでのネット接続がうまくいかず、結局、タブレットだけでメールチェックや原稿チェックをしたという経緯もあります。タブレットやスマートフォンで使用できるWordやExcelのアプリも、事前にダウンロードしておきましょう。

現地でパソコンが壊れたら?

言葉の壁がある海外でパソコンが壊れてしまうことを考える場合、日本語でのサポートが受けられる保険会社を探しておくのがおすすめです。しかし、書きかけの原稿をローカル保存している場合には、至急、直さないと作業が滞ってしまいます。

滞在先の主要言語が堪能な人であれば、修理を対応するショップを探すこともできますが、日本と比べてルーズな回答になりがちで、すぐに修理してもらえるとも限りません。大抵の場合はあきらめることになるかも……。

現地で新たにパソコンを購入する方が修理代よりも安い場合がありますが、日本語入力できるように設定を行う必要があるため、その手の知識を事前に身につけておくとよいでしょう。

仕事を終わらせていくのが理想的

ここまで海外で作業することを前提にまとめてみましたが、せっかくの海外旅行ですから、できることなら仕事は忘れて、完全なバケーションにするのが理想。できることなら、旅行前に仕事を終わらせて休暇宣言しておきたいところです。とはいえ、自分の都合でスケジュールを組むのは難しい場合もありますし、長期の休暇を取りにくいこともあるかもしれません。どんなタイミングでも仕事を受ける姿勢を貫くのであれば、入念にスケジュールをチェックしておきましょう。

長期の案件であれば、ある程度、予定や方向性の見通しはつきますし、前もって今後の作業内容を確認しておくのもひとつの手です。至急の依頼にもしっかり対応したいと思うのであれば、万全の準備は欠かせません。パソコンひとつで世界を渡り歩くライターとして、グローバルな対処法を知っておくとさらなる楽しみが広がりますよ。

PHOTOGRAPH BY みのうかなこ

 

著者プロフィール

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みのうかなこ
MC歴15年以上、現在はヨガインストラクターと並行して、フリーのライター&編集者に。得意ジャンルは、健康系全般。喜びを体感する「ラフターヨガ(笑いヨガ)」のすばらしさを伝えたいアラフォーママ。

 

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