ぜったい〆切に遅れない最速ライティング術とは? 『10倍速く書ける 超スピード文章術』ブックレビュー

ようやくライターになったはいいけれど、短い原稿にも時間がかかり過ぎるのが悩みの種。まだ駆け出しだから仕方ないかな……。

そんな思いを抱いている人にお勧めしたいのが、上阪徹氏の最新刊『10倍速く書ける 超スピード文章術』(ダイヤモンド社)です。

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出典:ダイヤモンド社

実はやみくもに経験を積んだからといって、書くスピードが上がるとは限りません。キャリアが長くても遅筆の人も大勢います。速く書ける人とそうでない人を分かつのは、一重にスピードアップのノウハウを身に着けているかどうか。もっと言えば、速く書くにはノウハウがあることを知っているかどうかです。

本書では、時間がかかってしまう理由を解き明かしたうえで、スピードアップへの道筋がきわめて具体的に示されています。ここでは、本書が伝える数々の極意のうち、肝となる「素材文章術」のさわりを紹介します。

「どう書くか」はいっさい気にしない

書くスピードを格段に上げるには「素材」を意識すべき。 上阪氏が最も強調しているのがこの点です。素材とは文章の中身のこと。「どう書くか」ではなく、素材を意識して「何を書くか」に集中する。これがスピードアップの唯一の秘訣だと言います。

では、素材集めに際して、どんな点に注意すればいいのでしょうか。本書によれば、念頭に置くべきルールが2つあります。

1つめは「文章の目的をはっきりさせること」です。ライターを仕事にしているなら、表面的な目的は編集者からの仕事の依頼に答えるため、となるかもしれません。でも、それだけではいい素材集めができません。「その文章を読んだ読者に、何を感じてもらいたいのか?」を明確にすべきなのです。それが著者の言うところの「真の目的」となります。

2つめは「読者を決めること」です。上阪氏は「『みんな』に伝わる文章を書こうとすると、結果的に、誰にも伝わらない可能性が高い」と警鐘を鳴らします。たとえ、「30〜40代男性」などと対象を設定したとしても、実際には「平均的な30〜40代男性」など一人もいないからです。

そこで著者がしばしば使うのが、友人知人など特定の人を読者に設定すること。「あの人に、この話を聞かせてあげたい」などと、具体的な顔を思い浮かべながら原稿を書くのだそうです。

「目的と読者がハッキリすれば、集める素材が見えてくる」と上阪氏。常にこれを念頭に置いておくため、執筆の間、目的と読者を目に見える場所に書き出しておくそうです。

「速く書く」のは行動習慣。才能は不要!

この2つルールを本記事に当てはめてみましょう。

読者としては、比較的キャリアの浅い駆け出しライターを想定し、「書く」ことへのモチベーションを高めてもらうことを目的にしました。「こんなノウハウがあるのか! ならば、それを身に着けて、いい記事をどんどん書いてみたい!」と思ってもらえたらうれしい。さらに「この本を買って読んでみよう!」と行動に移してもらえたら、書評記事としての役割を果たしたといえるでしょう。

もはや駆け出しとは言えない筆者も、一気に通読しながら、「これは見習いたい!」「なるほど、こうすれば効率アップできそう!」と思う箇所に、次々と付箋を貼っていきました。すると、あまりに「素材」の数が多くなって、取捨選択に手間取ってしまったほど。本書はビギナーばかりでなく、ある程度の経験を積んだ人にも、自分の執筆プロセスを振り返るいい機会を与えてくれます。

なお、各章末に「速く書く行動習慣」として大事な点箇条書きにまとめられているのが便利。いくつかご紹介します。

  • (素材としては)「独自の事実」と「エピソード」と「数字」を集める
  • 頼まれて書くときは、依頼者に「真の目的」を確認する
  • 見たもの、聞いたこと、感じたこと、すべてメモする

きっとすぐにでも試してみたくなるはず。「速く書く」ために必要なのは、熟練の業やまして才能などではなく、「行動習慣」であるという著者のメッセージとも受け取れます。一人でも多くの人が本書のノウハウを習慣化して、スピードアップを図れますように!

 

著者プロフィール

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小島和子
フリーランスで編集・執筆・出版プロデュースを手がける。最初に勤めた出版社では、語学書や旅行記など、異文化にまつわる書籍の編集を担当。環境をテーマにした本づくりをきっかけにキャリアチェンジし、政府系機関やNGOで環境問題に関する情報発信に携わるなど、出版業界以外の経験も豊富。近ごろは東北復興の取材で現地に足を運ぶ機会も。分担執筆した著書に『つながるいのち―生物多様性からのメッセージ』がある。

 

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