美容ライター必見!薬事法の回避表現—化粧品

美容系の記事を書くときに、悩んでしまうのが「薬事法(※)」への配慮の仕方。前回、薬事法に抵触しやすい表現例についてお伝えしましたが(参照:「美容系ライティングで注意するべき10の「薬事法」NG表現」)、実際に記事を執筆する際には、そうしたNG表現を上手に言い換えるテクニックを身につけておかなければなりません。

今回は、代表的な文例をあげながら、化粧品が絡む記事でNGになりやすい表現と回避表現について考えます。

(※正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」ですがここでは馴染みのある「薬事法」という言葉を使います。2016/07/25追記)


まずはNG表現をチェックしてみよう!

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よくあるのが、商品を直接紹介するわけではないものの、配合成分のメリットを伝えることで読者の関心を引き出し、商品購入につなげるというケース。ダイレクトな紹介でなくても、そのページ内に商品のリンクや販売サイトのリンクがあれば、薬事法に配慮しなければなりません。

今回は、「プロテオグリカン」という成分を例にとって考えてみましょう。

<文例>

加齢とともに増えはじめる顔のシワ。気になる顔のシワを解消するには、一体どうすればよいのでしょうか。シワをなくすには、シワの改善効果がある成分が入った化粧品を選ぶことが大切です。なかでも、いま日本で最も話題になっている成分「プロテオグリカン」に注目したいところ。プロテオグリカンの有効成分が肌の奥深くまで浸透し、シワの原因を内側からブロック。抜群の効果を発揮して、加齢によるシワを改善してくれます。

<考察>

皆さんは、どこかNGなのかわかりますか? 以下、注意したい表現をあげていきます。

  • NG表現1:「気になる顔のシワを解消するには、一体どうすればよいのでしょうか。」

まず、化粧品でシワを解消することはできません。
できるのは、メーキャップによってシワを隠すこと、保湿によって肌にうるおいを与えることまでです。「シワをなくす」「シワの改善効果がある成分が入った化粧品」「加齢によるシワを改善」という表現も薬事法上NGです。

  • NG表現2:「いま日本中で最も話題になっている成分」

抜群」「最も」「一番」「大好評」「No.1」……これらはすべて誤解を招きやすい最大級的な表現であり、安易な使用は避けなければなりません。美容系ライターであれば、化粧品の広告をみるとき、大きな文字のコピーだけでなく欄外の小さな文字にも注目したいところ。

例えば「売上No.1!!」というコピーであれば、どこかに「2016年○○調べ」といった参照元が提示されています。

例文にあるプロテオグリカンは確かに話題の成分ですが、「日本中で最も」話題になっているかどうかは定かではありません。「抜群の効果」もNGです。

根拠があったとしても、煽る表現はNGになる可能性があることを覚えておきましょう。

  • NG表現3:「プロテオグリカンの有効成分が肌の奥深くまで浸透し、シワの原因を内側からブロック。」

プロテオグリカンがシワの発生を止めてくれるんだと思わせてしまうため、このままでは薬事法に抵触します。前回の記事でお伝えしたように、「肌の奥深くまで浸透」もNG表現です。

実は、プロテオグリカンという成分そのものにはいろんな働きが期待されており、抗炎症作用もそのひとつ。
リサーチを進めるなかで、関節症や生活習慣病への効果に関する記述も見つけて、ついメリットとして書いてしまいたくなりますが、ここはグッと我慢。

記事のねらいは、あくまで化粧品に配合されるプロテオグリカンという成分に興味をもってもらうことです。

化粧品として言及できるメリットは、プロテオグリカンの場合、基本的には肌に「うるおい」と「ハリ」を与えることが中心になるでしょう。

・参照:化粧品の効能効果の範囲について(東京都福祉保険局)

薬事法への抵触を回避するリライト例

では、成分のメリットをきちんと伝えつつ、薬事法への抵触を避けるにはどうすればよいのでしょうか?
まずは、文例で何を伝えたかったのかを考えてみましょう。

  • 加齢によるシワが気になる人がターゲット。
  • シワ対策として、プロテオグリカン配合の化粧品を推したい。

この2点が主なポイントに。加えて、忘れてはいけないのが、「加齢による自然な老化はストップできないこと」「化粧品でシワをなくすことは無理」の2つです。

これらを踏まえて、以下にリライト例をご紹介します。

<リライト例1>

加齢とともに増えはじめる顔のシワ。気になる顔のシワには、一体どう対処すればよいのでしょうか。シワの原因としてまず考えられるのが、加齢による乾燥。その対策として、保湿力に優れた成分が入った化粧品を選ぶことが大切です。なかでも、「プロテオグリカン」は特に注目したい成分。ヒアルロン酸を上回る保湿力をもつといわれており、年齢肌が気になる方にもおすすめです。

<考察>

年を重ねると、肌の保湿成分の生成量が減少して、乾燥しやすくなります。そして、乾燥はシワの原因のひとつ。

つまり、加齢による乾燥対策としてプロテオグリカンを用いることで、うるおいを与えてシワ対策につなげるという展開です。「改善」「効果」という言葉は使わずに、誇張表現を避け、アピールポイントを保湿に絞って薬事法への抵触を回避します。

よりスムーズにアピールするには?

上記のリライト例は、薬事法に抵触する部分を言い換えたものです。はじめから薬事法に配慮した文章を書けば、よりスムーズに伝えることができるでしょう。

<リライト例2>

加齢とともに気になりはじめる顔のシワ。年をとったのだから仕方がないとあきらめてはいませんか? シワの原因はさまざまですが、加齢による肌の乾燥もそのひとつ。まずは、毎日のスキンケアを見直してみましょう。肌のうるおいを保つために必要な保湿成分は、残念ながら年齢を重ねるにつれて減少していきます。だからこそ、保湿力に優れた成分を取り入れることがとても大切。なかでも、「プロテオグリカン」は、ヒアルロン酸を上回る保水力をもつといわれており、肌のハリが気になる方にもおすすめしたい成分です。

<考察>

一見、全く別の文章に生まれ変わっていますが、伝えたいポイントは最初の文例と同じです。薬事法に抵触する言葉だけを言い換えると、どこかギクシャクした文章になってしまうことも。

まずは「何を伝えたいのか」「薬事法に抵触せずに伝えられることは何か」を頭のなかで整理しましょう。そのうえで執筆すると、薬事法を何とか回避している文章ではなく、自然な流れのなかで成分のよさをアピールできる文章になるのではないでしょうか。

表現の引き出しをどんどん増やそう!

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編集者として薬事校正するときにいつも葛藤するのが、いかに元の文章を生かしつつ薬事法への抵触を避けるかについてです。できればライターさんの言葉を残したい、けれどこのままでは納品できない……と頭を抱えることもしばしば。

私たちライターは、文章力と表現力という技術をもっています。NG表現をチェックするのはライター以外の方にもできるでしょうが、NG表現を避けながら魅力的な文章を書くというのは、プロのライターだからこそできること。

私は、よく化粧品売り場に足を運びますし、雑誌の広告も隅々にまで目を通します。なぜなら、そこは魅力的な表現例の宝庫だからです。日々いろいろなメディアをみながら、表現の引き出しをせっせと増やしています。

ぜひ皆さんも、化粧品会社の広告やCMをみながら、どんな表現が使われているのかをチェックして、自分ならではの魅力的な記事づくりに役立ててくださいね。

 

著者プロフィール

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藤田幸恵
医学書の出版社勤務を経て、フリーランスのライター・エディターに。得意ジャンルは、美容・医療・薬事関連。企業の広報やECサイトの各種ライティング、紙媒体の出版物に携わる。好きな場所は図書館。苦手な場所はサウナ。

 

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