フリーライターの営業に必要なのは、「仕事ください!」と声高に叫ぶことじゃない

フリーライターの営業に必要なのは、「仕事ください!」と声高に叫ぶことじゃない

「どうやって営業したらいいのかわからないんですよねー」と、フリーランスの方がこぼしている場面に遭遇することが多々あります。
独立したはいいものの、イマイチ仕事が広がらない。人脈を作ってもなかなか仕事に結びつかない。そんな状況が続くと、たしかに焦る気持ちが大きくなってきますよね。

しかしそもそも「営業」とは何なのでしょうか?

とにかく得意先を頻繁に訪れて、世間話がてら担当者と仲良くなること? ひたすら電話をかけ続けて「仕事ください!」と売り込むこと? お得意様を高級料亭で接待すること? 飛び込みで新規開拓をすること? 

こうした行為は、確かによくある「営業」の一部です。しかしこれらはあくまでも“一部”にすぎません。「営業の仕方がわからない」と悩む人は、その画一的なイメージに縛られすぎているのではないでしょうか。

活躍しているフリーライターが「営業したことない」というのは本当か

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みなさんは「やり手の営業マン」と聞いて、どんな人物像を思い浮かべますか? パリっとスーツを着こなし、明るく屈託のない笑顔でコミュニケーション能力がズバ抜けて高く、どんな人とでもすぐに仲良くなってしまう好青年。お客さんの懐にすっともぐり込み、仕事をバンバン取ってくるーー正直なところ私も、そんな人をイメージすることが多いです。

「だから私は営業が向いていない」「営業なんて自分にはできない」

私も以前はそう思っていた一人でした。でも、いざ社会に出て働きはじめてみると、饒舌な営業マンが優秀とは限らないことがわかってきました。営業が一人もいないのに成り立っている会社もたくさんありますし、営業しなくても次々仕事が舞い込むフリーランスの方もいます。
ただし、活躍しているフリーライターの方にどうやって仕事を広げたのか質問しても、「営業したことない」と返されるケースがけっこう多いんですよね。

でもそれは、おそらく正確な言い方ではないと思います。

そういう方々は確かに、飛び込みやテレアポなどの営業活動はしていないのでしょう。
しかしだからといって、本当に何もせずに仕事を獲得しているわけでも、ただ運がいいわけでもないはずです。活躍している人は、地道かつ適確な「情報発信」によって、違った切り口から営業を成功させているのです。

「仕事くれ」という前に「自分が何者か」をきちんと発信できているか

何者かよくわからない、何ができるのかわからないフリーランスの人間に、いきなり仕事を発注する人はいません。さらに仕事の発注とは、相手が持っている需要と、あなたができることがマッチしてはじめて生まれるものです。

だから「営業」の第一歩は、まず自分が持っているものをきちんと明らかにして、誰にでも伝わるように発信すること。それにつきると思います。「営業をしたことがない」というライターさんは、こうしたイメージをわかりやすく発信されている方が多いです。

  • 自分は一体誰か どんな経歴を持っているのか
  • 普段どんな仕事をしているのか どんな得意分野があるのか 
  • これからどんな仕事がしたいのか
  • 仕事を依頼するにはどうしたらいいのか(問合せ方法、問合せ先)

情報さえ整理できれば、それを発信する方法はいくらでもあります。
名刺ウラの情報を充実させてもいいし、これまで手がけた実績を、いつでも渡せるようにまとめておくのもいいでしょう。SNSのプロフィール欄を充実させて、定期的に手がけた仕事の内容を出していくのも効果的だと思います。ブログを開設して、得意な領域の記事をコツコツ書きためていけたらなおステキです。

そしてそれらの情報が集約する場所として、自分自身のウェブサイトを持つことをおすすめします。

ウェブサイトは、24時間365日稼働してくれる最強の営業ツール

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ウェブサイトの開設をおすすめする理由は、大きく3つあります。まず1つは、公式サイトがあれば自分の活動すべての受け皿になってくれること。そして2つ目は「仕事をください!」と必要以上にバットをぶんぶん振り回さずとも、あなたを必要としてくれる人が向こうから問い合わせてくれる可能性が高くなること。3つ目はサイトに情報がまとまっていれば他者に紹介しやすく、直接会って仕事を依頼するまでの心理的なハードルが下がることです。

例えばライターを探していて、あなたのTwitterにたどり着いた人がいたとします。SNSやブログはフロー型のコンテンツですから、見る側としてはさかのぼるのがすごく大変ですし、発信側としては本当に見てほしい情報がスルーされる可能性もあるんですよね。そのときプロフィール欄にURLがあって、相手の「知りたい情報」そして自分が「見てほしい情報」がひとつのサイトに簡潔にまとまっていたら、どうでしょうか。直接会わずとも営業が完了し、お互いに自然とマッチングがなされていきますよね。これが受け皿としての役割です。

さらに、もうひとつ。例えば交流会であなたと一度だけ名刺交換した人が、知人から「誰かいいライターがいないか」と聞かれたとします。その人は、ふとあなたのことを思い出して、名刺を見返すかもしれません。そこに検索キーワード(名前+ライター、など)が書いてあったら、おそらくすぐにウェブ検索をするでしょう。そこでサイトが出てくれば、「こんな人なら知ってるよ」と、メールひとつですぐに紹介することができますよね。実にスムーズです。

このように、ウェブサイトはつくり方次第で、全世界の人がワンクリックで見ることのできる最強の“営業ツール”になり得るんです。

最低限のウェブサイトは素人でも、無料で作れる時代

私が3年前に独立したとき、他のライターさんのサイトは数えるほどしか見つかりませんでした。制作の参考にしたかったんですけどね……。そしてその状況は今もあまり変わっていません。

ですから仕事がなかなか広がらずに悩んでいるフリーライターの方は、いきなり無謀な営業をしようとしないで、公式ウェブサイトを立ち上げ、基本的な情報発信に力を入れてみてはいかがでしょうか。

今は無料〜安価な価格で、しかもウェブの知識が何もなくともサイトを制作できるサービスがいろいろあります。丁寧に情報発信を続けていけば、あなたを必要とするお客様と出会える可能性が少しずつ高まっていくはずです。

photo by 

RyanMcGuire

Pixoman

Luis Llerena

 

著者プロフィール

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大島悠
企業広報を専門にしているフリーランスのライター・編集ディレクター。BtoB専門のデザイン制作会社勤務を経て、2013年に独立。会社案内や採用案内、コーポレートサイト、広報誌、各種パンフレットなどを中心として、企画・編集から取材・ライティングまでを幅広く請け負っている。

 

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