ライター募集の経済学。二極化するフリーランス市場で、高給取りを目指すには?

ライター募集の経済学。二極化するフリーランス市場で、高給取りを目指すには?

クラウドソーシングが普及し、フリーランサーでも手軽に受注できるライティングの仕事が増えています。ライターにとってありがたい時代到来! と言いたいところですが、必ずしも良いことだけではありません。

フリーランス市場が拡大し、ライター同士の競争が高まることで、「低価格・短納期」という負の事象もあります。競争が激しい産業の多くがそうであるように、今後、高いレートで取引ができるライターと、文字単価0.5円以下のレートでとにかく量で勝負せざるをえない「馬車馬ライター」との、更なる二極化が進むことが予測されます。

ライター市場で勝ち抜き、高いレートで取引できるライターになるためには、どうしたらいいのでしょうか?

なぜ二極化するのか。まず市場の動向を知ろう

フリーライターが活動する市場は、書籍、雑誌、Web記事とさまざまですが、今回はコンテンツマーケティングの流行にともない需要が増えたにWeb記事について掘り下げてみます。

マーケティングのフレームワーク「3C」を使って、フリーライター市場の規模や成長性、顧客ニーズ、競合について分析してみましょう。自分の今いる市場を熟知することで、どんな人が高給取りになれて、どんな人が馬車馬になってしまうのかを知ることができます。以下、「市場」「競合」「自分」の順番でみていきます。

1.    コンテンツマーケティングの市場規模は拡大中

2014年は「コンテンツマーケティング元年」と言われ、コンテンツマーケティングが日本へ定着した年になりました。それから2年、コンテンツマーケティングを活用している企業は54%(2015年)から70%(2016年)と約15%の伸び率をみせ、拡大傾向にあります(参考:「コンテンツマーケティング調査レポート」GinzaMetrics)。

2.    「ライター」の人数も増加傾向に

ランサーズが行った2015年の調査によると日本国内におけるフリーランス数は913万人、2016年には1064万人に増え、1年で17%と高い伸び率を示しています(参考:「フリーランス実態調査2016年度版を発表! 日本のフリーランス事情」ランサーズ)。

こちらの調査結果では言及されていませんが、オンラインでコミュニケーションをとれば在宅での仕事が可能で、隙間時間を使って働くことができるため、これまで文章を書くことを専門としてこなかった人が「ライター」として働くケースも増えていると考えられます。

3.    高給取りのキーワードは「専門性」

それでは、「自分」についてはどのように分析したら良いでしょうか?

ライターに必要なスキルは多岐にわたりますが、ここでは大きく「ライティング経験」と「専門分野」に分けて考えます。ライティング経験の多い/少ないを縦軸、専門性の高い/低いを横軸にして、4象限にプロットしたのが下記の図になります。自分がどこに当てはまるか考えてみましょう。

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原稿料が高い順に、A氏、B氏、C氏、D氏となります。意外かもしれませんがライター経験が多いC氏よりも、ライター経験は少なくても専門性をもつB氏の方がより高レートになります。現在のコンテンツマーケティング市場では、より内容の濃い記事を書けるライターが求められるようになっているからです。

もちろん執筆スキルが高いに越したことはありませんが、高給取りになるためには、専門性の高い業界選びがポイントであると言えるでしょう。ここでは、金融やIT、製造業、マーケティング、医療、法律といった分野を専門性が高い分野と呼んでいますが、それは誰にでも書けるジャンルではないからです。「専門性が低い」に分類した食、美容、旅、恋愛、育児などであっても、その分野を極めることで「専門性が高い」と判断されることは十分ありえます。

高級取りになるために必要な3つのテクニック

しかし、誰もが高い専門分野を持っているわけではありません。専門分野の高い業界を攻める以外に、高給取りになる方法はないのでしょうか? 3つのポイントをご紹介します。

1.    現場を経験し、ライター+αの人材に

クライアントと直接やりとりをし、場合によっては社内で仕事をすることは、ライターにとって貴重な経験を積む機会となります。ライティングという一つの工程が、全体の流れの中でどういう位置付けにあるかを理解しているライターは、クライアントにとってもありがたい存在です。現場仕事となると、企画会議への参加や、編集者として他のライターとのやり取りも発生することがあります。執筆の仕事だけでなく企画や編集に携わった経験があれば、ライターとしての価値も高まります。

現場採用には、正社員以外にもさまざまな雇用形態があります。パートタイムや派遣社員として募集している会社もありますし、週数回の出社や重要ミーティング、クライアントとのミーティング時のみ出社でもOKという形態をとっているコンテンツ配信会社も増えてきています。

もっとも、多くの取引先は東京にオフィスを構えているため、地理的な問題や現場経験が難しいという方もいるでしょう。そんな方は、登録している企業のセミナーに1年に1回でも参加してみてください。セミナーは、担当者と直に会うチャンスでもあり、現場の空気を知る機会でもあります。クライアントのニーズに耳を傾けることはよい記事が書けるライターの素養の1つです。

2.    異なる分野のコラボレーションや新しい分野の早期開拓

比較的低いレートとされている食、美容、旅、恋愛、育児の分野でも、別の専門分野とコラボレーションすることで付加価値を出すことができます。例えば、「美容」であれば、薬機法についての知識がある「美容×薬機法」のライター。「食」であれば、「食×ビジネス」の記事が書けるライターなど、分野の掛け合わせで希少性を生み出せれば、レートは高くなるでしょう。

また、競合ライターの少ない新たな分野をいち早く開拓するのも1つの手段です。例えば、最近注目されている新たな分野には下記があります。

  • フィンテック
  • ビットコイン(仮想通貨)
  • 人工知能(AI)
  • IoT(Internet of Things)
  • コンテンツマーケティング、インバウンドマーケティング

これらはほんの一例ですが、新しい分野のライターはいつも不足傾向にあります。ライティング経験が浅くても、業界経験やその分野の知識があれば、挑戦してみてください。

3.    オリジナルの情報源をもつ

オウンドメディアが乱立し、コンテンツが溢れているにもかかわらず、読者が本当に知りたいと思えるコンテンツを書けるライターが少ないのが実情です。読み手にとって有益となるオリジナルの情報源を持っているライターは、市場にとって魅力的な人材です。

具体的な情報源の一例をご紹介しましょう。

日本人があまり閲覧しない海外の記事

外国語のスキルが必要となりますが、まだ日本に入ってきていない最新の情報が入手しやすく、読み手が興味をもつ有益な情報が多くあります。例えば、競争が激しい美容分野でも、英語力が多少あれば、海外トレンドを紹介できることをライターとしてのセールスの1つにすることができます。

省庁や調査会社が発信するデータ

環境省や総務省などの省庁では定期的にレポートやリリースを発信しています。また、民間の調査会社も同様です。レポートによっては100ページ以上に渡るものもあり読むのに根気が必要ですが、情報の付加価値は高く、定量情報(数値情報)を参照できるため、記事に高い説得力が生まれます。

業界団体の会員限定で得られる情報

業界が運営する団体の会員に入会し、業界独自の情報を入手することも1つの方法です。会員は、会報誌やメールマガジンで業界に特化した内容の濃い情報を定期的に入手でき、会員限定のセミナーなどに参加することができます。専門性が高く難易度の高い内容をしっかりと咀嚼し、読み手に解りやすくライティングできる技術を身につければ、ライターとしての付加価値は非常に高くなります。会員費用は業界によって異なりますが専門性が高い業界で1万円程度〜が目安です。高級取りのライターになるための自己投資としては惜しくない額です。

まとめ

拡大傾向にあるコンテンツマーケティング市場において、競争が高まるライターの平均レートが低下するのは必然です。しかし、そんな市場においても、高いレートで交渉できる勝ち組として生き残るために、今回、業界の選定、新規分野の先取り、専門分野のコラボレーション、有益な情報源の獲得などいくつかのポイントをご紹介しました。執筆能力だけでなく、どんな分野を選ぶか、という戦略的思考がライターに求められる時代と言えるかもしれませんね。

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著者プロフィール

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見上すぐり
海外向けコミュニケーション、マーケティング会社でアメリカ人マーケターとチームを組み、日系中小企業を対象としたインバウンドマーケティング導入をサポート。同社にてIR、マーケティング、海外コミュニケーションに関するブログ記事の企画、執筆、編集を担当。現在は、インドにてIT・マーケティングを中心にフリーライターとして執筆活動中。

 

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