こんにちは!
元・虫歯だらけのパティシエ見習い、口腔ケアアドバイザーの柚木葉子です。
さて、いきなりですが、質問です。
あなたは歯を磨くとき、歯ブラシを水で濡らしてから歯磨き粉をつけていませんか?
「え、当たり前でしょ?」「むしろ濡らさない人いるの?」
そんな声が聞こえてきそうですね(笑)。わかります、わかります。私も昔は、ジャッと景気よく濡らしてから磨くのが当たり前だと思っていましたから。
でも、もしその「当たり前」が、歯磨き粉の効果を半減させているとしたら…?
実はそれ、すごくもったいないことかもしれません。
今日は、多くの人が無意識にやっているこの習慣について、あなたのお家のキッチンにある“アレ”を例にお話しさせてください。
目次
それって、お皿洗いの洗剤と同じ理屈なんです
昨日の夕食、何を食べましたか?
例えば、ギトギトの油がたっぷりついたミートソースのお皿を洗う場面を想像してみてください。
あなたはスポンジに食器用洗剤をつけた後、どうしますか?
きっと、少量の水でクシュクシュと泡立てて、油汚れに直接アタックさせますよね。
もし、洗剤をつけたスポンジを、水を張った洗い桶の中でジャブジャブしてからお皿を洗ったら…?
おそらく、泡はたくさん立つかもしれませんが、肝心の油汚れはなかなか落ちてくれないはずです。洗剤の洗浄成分が水で薄まってしまって、汚れを分解するパワーが弱まってしまうからですね。
「濃いまま、汚れに直接アタックさせたい!」
お皿洗いでは、誰もが自然にそう考えているはずです。
そして、何を隠そう、歯磨きもこれと全く同じ理屈なんです。
歯ブラシを濡らすと「もったいない」3つの理由
では、なぜ歯ブラシを濡らすと「もったいない」のでしょうか?
専門的な言葉をなるべく使わずに、3つの理由にまとめてみました。
理由1:歯の強化コーティング(フッ素)が薄まって流れてしまう
多くの歯磨き粉には、「フッ素」という成分が含まれています。これは、歯の表面を硬くして、虫歯菌が出す酸に負けないようにしてくれる、いわば「歯の強化コーティング剤」のようなもの。
しかし、歯ブラシを先に濡らしてしまうと、この大切なフッ素が、歯に届く前に水と混ざって薄まってしまいます。せっかくの栄養ドリンクを、水で薄めてから飲むようなもので、効果が十分に発揮されなくなってしまうのです。
理由2:「磨けた気分」になってしまう“泡立ちの罠”
水で濡らした歯ブラシは、確かによく泡立ちます。モコモコの泡がお口いっぱいに広がると、なんだか隅々までキレイに磨けているような気分になりますよね。
でも、これが危険な「泡立ちの罠」なんです。
実際にはまだ歯の表面にネバネバの汚れ(細菌の塊うんち、ことプラークです!)が残っていても、泡立ちの良さにごまかされて「よし、磨けた!」と歯磨きを短時間で終えてしまう傾向があります。これは多くの歯科専門家が指摘している、とても重要なポイントです。
理由3:汚れを落とすパワーが弱まる
歯磨き粉には、フッ素の他にも、歯の表面についた着色汚れなどを落とすための「研磨剤(清掃剤)」という成分が含まれています。
これも食器用洗剤と同じで、水分が多すぎると濃度が薄まり、汚れをこすり落とすパワーが弱まってしまいます。乾いた歯ブラシで磨くことで、この研磨剤が効率よく働き、歯をツルツルにしてくれるのです。
ズボラさんでもOK!今日からできる「効果120%」の歯磨き3ステップ
「理屈はわかったけど、じゃあどうすればいいの?」
ご安心ください!難しいことは一つもありません。いつもの歯磨きを、ほんの少し変えるだけ。今日からすぐに実践できる、効果を最大限に引き出すための3ステップをご紹介します。
ステップ1:乾いた歯ブラシに、適量の歯磨き粉を乗せる
まずは、乾いたままの歯ブラシに、歯磨き粉を乗せます。量は、大人の場合で1cm程度が目安。歯ブラシの毛先に、しっかり刷り込むように乗せるのがポイントです。こうすることで、歯磨き粉が歯全体に効率よく行き渡ります。
ステップ2:歯と歯茎の境目を、やさし〜く磨く
歯ブラシの持ち方は、ギュッと握る「グー持ち」ではなく、鉛筆を持つように軽く握る「鉛筆持ち」で。力を入れすぎると、歯や歯茎を傷つけてしまう原因になります。
シャカシャカと小刻みに動かしながら、特に汚れが溜まりやすい「歯と歯茎の境目」を狙って、1本1本丁寧に磨いていきましょう。「右下の奥からスタートして、ぐるっと一周する」というように、磨く順番を決めておくと、磨き残しがグッと減りますよ。
ステップ3:すすぎは「おちょこ一杯」の水で1回だけ
これが一番驚かれるかもしれません。
歯磨きが終わった後のすすぎは、ペットボトルのキャップ1〜2杯(約15ml)程度の、ほんの少しの水で、5秒ほどブクブクして吐き出すだけで十分です。
「え、気持ち悪い!」「泡が残る感じがイヤ!」と思いますよね?わかります(笑)。でも、ここが一番の頑張りどころ!
こうすることで、お口の中に「歯の強化コーティング剤」であるフッ素を、できるだけ長く留めておくことができるのです。最初は違和感があるかもしれませんが、3日も続ければ慣れてきますよ。
まとめ
いかがでしたか?
- お皿洗いの洗剤と同じで、歯磨き粉も水で薄めると効果が弱まる
- 歯ブラシを濡らさないだけで、フッ素の効果がアップし、磨き残しも減る
- すすぎは「ごく少量の水で1回」が、お口の健康を守るカギ
「歯ブラシを濡らさない」という、本当にささいな変化。でも、この小さな習慣が、あなたの歯を虫歯から守り、未来の「おいしい」を守るための、大きな一歩になります。
完璧じゃなくていいんです。まずは今夜、騙されたと思って、乾いた歯ブラシで歯を磨いてみませんか?
それだけで、あなたはもう、昨日の自分より一歩前に進んでいます。それだけで、十分偉いんです!