はじめまして!
口腔ケアアドバイザーの柚木葉子(ゆずき ようこ)と申します。
突然ですが、歯磨きって、正直めんどくさいですよね。わかります、わかります。私も昨夜、「もういっか…」とベッドにダイブしかけましたから(笑)。
「元・虫歯だらけのパティシエ見習い」なんていう、ちょっと変わった肩書きを持つ私が、なぜ今、お口のケアについて発信する側になったのか。そして、このブログで何をお伝えしたいのか。
今日は、私の自己紹介も兼ねて、その原点となった「絶望と希望の物語」にお付き合いいただけたら嬉しいです。
これは、甘い夢を追いかけた20代の私が、たった1年で8本もの虫歯を作り、人生のどん底で知った「食べる幸せ」を守ることの大切さの物語。もしあなたが今、歯のことで少しでも悩んでいたり、「歯医者=怖い場所」と感じていたりするなら、きっと何か持ち帰っていただけるものがあると信じています。
目次
憧れのパティシエ見習い時代、甘い罠と過酷な現実
20代前半、私の毎日は文字通り「甘い夢」の中にありました。幼い頃から憧れていたパティシエになるため、洋菓子店で見習いとして働き始めたのです。
厨房に広がる、バターと砂糖が焼ける香り。キラキラと輝くフルーツやチョコレート。見るものすべてが新鮮で、毎日が本当に充実していました。もちろん、仕事は楽ではありません。早朝から夜遅くまでの立ち仕事、重い小麦粉の袋を運び、数えきれないほどの卵を割る日々。それでも、自分の作ったお菓子でお客様が笑顔になる瞬間を想像するだけで、どんな疲れも吹き飛んでいきました。
パティシエの仕事には、欠かせない「味見」という工程があります。スポンジの焼き加減、クリームの甘さ、フルーツの酸味。そのすべてを自分の舌で確かめ、最高のバランスを探っていくのです。先輩の作る繊細な味を覚えるため、私も毎日のように試食を繰り返しました。
しかし、この「試食」こそが、私の歯を蝕む甘い罠だったのです。
パティシエや料理人といった食のプロは、実は虫歯のリスクが非常に高い職業であることが知られています。その理由は、頻繁な試食にあります。専門家によると、食事の回数が増え、口の中に糖分が残る時間が長くなるほど、虫歯菌が活発に活動し、歯を溶かす酸を作り出しやすい環境になるのです。まさに、私の口の中は、四六時中、虫歯菌にとって最高のパーティー会場と化していました。
当時の私は、そんな知識もありません。不規則な生活で、食後にすぐ歯を磨けないこともしばしば。「味覚が鈍るから」という先輩の教えを守り、歯磨き粉を使わずに水だけで磨くこともありました。今思えば、恐ろしいことばかりです。
「このままでは30代で総入れ歯」歯科医からの絶望的な宣告
体に異変を感じ始めたのは、働き始めて1年が経った頃でした。冷たい水を飲むと、奥歯がキーンとしみる。チョコレートを食べると、ズキッと鋭い痛みが走る。見て見ぬふりをしていましたが、痛みは日に日に増していきました。
意を決して歯医者さんへ行くと、先生はレントゲン写真を見ながら、静かに、しかし厳しい口調でこう告げたのです。
「柚木さん、ひどい状態ですよ。虫歯が…8本あります。このままの生活を続けたら、30代で総入れ歯になる可能性も十分にあります」
頭をガツンと殴られたような衝撃でした。8本?総入れ歯?
まだ20代前半の私にとって、それはあまりにも現実離れした、絶望的な宣告でした。
「味覚が命のパティシエが、入れ歯になったら…?」
もう、繊細な味なんて分からなくなるかもしれない。お客様を笑顔にするお菓子を作れなくなるかもしれない。私の夢は、ここで終わってしまうんだ。
待合室の椅子に座り、涙が止まりませんでした。キラキラしていたはずの世界が、一瞬にして色を失ってしまったのです。
人生を変えた歯科衛生士との出会い
絶望の淵にいた私を救ってくれたのは、その歯科医院で担当になった一人の歯科衛生士さんでした。
治療計画は過酷なものでした。何本もの歯の神経を抜き、銀歯を被せる。治療のたびに、あの「キーン」という機械音と痛みに耐えなければなりません。すっかり歯医者嫌いになってしまった私に、彼女はいつも優しく寄り添ってくれました。
「痛かったですよね。もう少しですよ、頑張りましょうね」
そして、治療が終わると、彼女は私の生活スタイルを丁寧にヒアリングし、歯磨きの指導をしてくれました。私が「仕事柄、どうしても試食が多くて…」と打ち明けると、彼女はこう言ったのです。
「そうですよね、大変ですよね。でしたら、完璧にやろうとしなくていいんですよ。まずは、夜寝る前だけでも、フロスを通してみませんか?それだけでも、全然違いますから」
その言葉に、私はハッとさせられました。それまでの私は、「歯磨きは毎食後、完璧にしなくてはいけない」という強迫観念に囚われていたのです。でも、彼女は私の「できない理由」を否定せず、受け入れた上で、「できること」を提案してくれました。
その日から、私は言われた通り、夜のフロスだけは欠かさず続けるようになりました。すると、次の検診で、彼女は私の口の中を見るなり、パッと顔を輝かせてこう言ったのです。
「柚木さん!すごく綺麗になっています!頑張りましたね!」
自分の手で、自分のお口の環境を良くできた。その小さな成功体験が、私に「自分の歯を守る喜び」を教えてくれました。そして、いつしか私の心には、新たな夢が芽生えていました。
「私も、この人のように、食べる幸せを守る側になりたい」
24歳、ゼロからの再出発。歯科衛生士への道
その決意は、私を大きな決断へと導きました。パティシエの夢を諦め、24歳で歯科衛生士の専門学校へ入学したのです。
歯科衛生士になる道は、決して平坦ではありませんでした。ご存知の方もいるかもしれませんが、歯科衛生士は国家資格であり、専門の養成機関で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。(詳しくは公益社団法人 日本歯科衛生士会のウェブサイトをご覧ください。)
クラスメイトは、ほとんどが高校を卒業したばかりの10代。24歳の私は、少し気後れしながらも、必死で勉強に食らいつきました。解剖学、生理学、口腔衛生学…。覚えることは山のようにありましたが、あの日の決意が私を支えてくれました。
「もう二度と、私のように歯で泣く人を増やしたくない」
実習先の歯科医院で、患者さんの「ありがとう」という言葉を聞くたびに、この道を選んで本当に良かったと心から思えました。
5万人のお口を見てきた私が、今、一番伝えたいこと
歯科衛生士になって18年。一般歯科、小児歯科、訪問診療と、様々な現場で延べ5万人以上の方のお口をケアさせていただきました。
たくさんの経験を積む中で、忘れられない失敗もあります。新人時代、私は教科書通りの「完璧なブラッシング」を患者さんに求めるあまり、「あなたの指導は息が詰まる」と担当を外されてしまったことがあるのです。
その時の私は、まさに「正論」という名のハンマーを振りかざしていました。患者さんの生活スタイルや性格を無視した一方的な指導は、誰の心にも届かない。この挫折が、私に何よりも大切なことを教えてくれました。
それは、「70点でいいから、毎日続けられるケア」こそが、最強の予防法だということです。
だから、私はあなたの「面倒くさい」「怖い」という気持ちを、決して否定しません。むしろ、全面的に肯定します。その上で、あなたと一緒に、無理なく続けられる「お口のライフハック」を探すパートナーでありたいのです。
このブログでは、専門家としての知識や経験に基づきながらも、決して上から目線ではなく、「保健室の先生と、ちょっとサボりたがりの生徒」のような関係性で、お口のケアに関する情報をお届けしていきたいと思っています。
まとめ
長くなりましたが、これが私の自己紹介です。パティシエ見習いとして「食べる幸せを作る」はずだった私が、虫歯で絶望し、歯科衛生士として「食べる幸せを守る」道を選んだ物語。
私がこの経験を通して、そして18年間の歯科衛生士人生を通して、心の底から信じていることがあります。
それは、「お口の健康は、人生の『おいしい』を守ること」 だということです。
美味しいものを、自分の歯で、一生味わい続ける。それは、何にも代えがたい、素晴らしい財産です。
この記事を読んでくださったあなたに、まず一つだけお願いがあります。
「まずは今夜、歯ブラシに加えて、フロスか歯間ブラシを1回だけ使ってみてください」
それだけで十分、本当に偉いです!その小さな一歩が、あなたの未来の「おいしい」を守る、大きな一歩になるはずですから。
このブログでは、これからも、
- ズボラな私でも続いた、「生活の中に溶け込む、頑張りすぎないお口のケア」
- 難しい専門用語や、高価すぎるグッズは使わない、100均グッズ活用術
- 「歯医者さんで怒られる恐怖」からあなたを解放するヒント
などをお届けしていくことを約束します。
これから、どうぞよろしくお願いいたします!