歯医者さん、正直なところ、ちょっと怖いですよね。「もし虫歯だらけだったら怒られるんじゃないか…」「こんなになるまで放っておいて!なんて言われたらどうしよう…」そんな不安で、足が遠のいてしまう気持ち、本当によくわかります。何を隠そう、昨日の夜の私自身が「あー、歯磨き面倒だな…」なんて葛藤していたくらいですから(笑)。
はじめまして。口腔ケアアドバイザーの柚木葉子(ゆずき ようこ)と申します。実は私、「元・虫歯だらけのパティシエ見習い」なんです。20代の頃、来る日も来る日も試食を繰り返した結果、たった1年で8本もの虫歯を作ってしまい、「このままでは30代で総入れ歯になる」と歯医者さんに宣告された過去を持っています。
食べる幸せを守る側になりたい、と一念発起して歯科衛生士になって18年。今では「一生おいしく食べるための”お口のライフハック”」をお伝えすることを自分の使命としています。
この記事を読んでくださっているあなたは、きっと、過去の私と同じように、歯のことで悩んだり、不安になったりしているのかもしれません。でも、大丈夫。この記事を読み終える頃には、あなたの心の中にある「歯医者さんで怒られる恐怖」が、少しでも和らいで、「ちょっと行ってみようかな」と思えるようになることを、私、柚木が約束します。

目次
なぜ私たちは「歯医者で怒られる」と思ってしまうのでしょうか?
「怒られるかも…」その気持ち、あなただけじゃありません
まず一番にお伝えしたいのは、「怒られるのが怖くて歯医者に行けない」と感じているのは、決してあなた一人ではない、ということです。実際に、歯科医院に来るのをためらう理由として、痛みへの恐怖と並んで「怒られるのが怖い」「自分の口の中を見せるのが恥ずかしい」と答える方は、驚くほどたくさんいらっしゃるんですよ。
これは、心が弱いからとか、だらしないからとか、そういう問題では全くありません。むしろ、真面目で、他人の評価を気にする優しい方ほど、そう感じてしまう傾向があるように、私は思います。
不安の正体は?3つの「思い込み」をチェック
では、なぜ私たちはそこまで「怒られる」と思ってしまうのでしょうか。その不安の正体は、大きく分けて3つの「思い込み」から来ていることが多いです。
思い込み①:「こんなになるまで放っておいて!」と叱られるはず
これは、ご自身の口の中の状態が良くないと自覚している方ほど、強く感じてしまう思い込みです。「自分でちゃんとケアできていない」という罪悪感が、「歯医者さん=先生」というイメージと結びついて、「きっと叱られるに違いない」という恐怖に変わってしまうのです。
思い込み②:痛い治療を無理やりされるに違いない
過去に歯医者で痛い思いや、怖い経験をしたことがあると、その記憶が「トラウマ」となって、「歯医者=痛くて怖い場所」というイメージが刷り込まれてしまいます。診察台に座っただけで、心臓がドキドキしたり、手に汗をかいたりするのは、この思い込みが原因かもしれません。
思い込み③:専門用語ばかりで、質問しづらい雰囲気だったらどうしよう
白衣を着た専門家を前にすると、なんだか威圧感を感じてしまって、「こんな初歩的なことを聞いたら、呆れられるんじゃないか…」と、質問をためらってしまう。そんなコミュニケーションへの不安も、歯医者さんから足を遠のかせる大きな原因の一つです。
ちょっとだけ聞いてください。私たち歯科衛生士の「本当の気持ち」
「来てくれて、ありがとう」が、私たちの本音です
もし、あなたが今、勇気を振り絞って歯科医院のドアを叩いてくれたなら。私たちは、決してあなたを責めたり、叱ったりしません。むしろ、心の中でこう叫んでいます。
「よく来てくださいましたね!来てくれて、本当にありがとう!」
これは、決して大げさな表現ではありません。あるクリニックの先生も言っていますが、「どんな状態であっても、来てくださったこと自体が大きな一歩。そしてその勇気を、決して無駄にはしません」というのが、多くの歯科医療従事者に共通する思いです。(出典: 山手歯科クリニック)
私たちは、あなたの過去を責めるのではなく、「これから一緒に良くしていきましょう」という、未来を共にするパートナーでありたいのです。
私たちが見ているのは「歯」よりも「あなたの気持ち」
歯科衛生士という仕事は、ただ歯の汚れを取ったり、歯磨きの指導をしたりするだけではありません。患者さんがどんな生活を送っていて、どんなことに悩み、何を不安に思っているのか。その方の「気持ち」に寄り添うことこそが、一番大切な仕事だと考えています。
実は私、新人時代に大きな失敗をしたことがあります。教科書通りの「完璧なブラッシング」を患者さんに強要しすぎて、「あなたの指導は息が詰まる」と担当を外されてしまったのです。この挫折から、「生活スタイルを無視した正論は、誰の心にも届かない」と痛感しました。
だからこそ、私たちはあなたの「面倒くさい」「怖い」という感情を、まず全面的に肯定したい。その上で、一緒に続けられる方法を探していきたいのです。
歯科医院は「怒られる場所」から「頼れる場所」へ
最近では、多くの歯科医院が患者さんとのコミュニケーションを何よりも大切にしています。治療法を一方的に決めるのではなく、いくつかの選択肢を提示し、患者さんと一緒にゴールを目指していくスタイルが主流になってきているんですよ。
もし、どの歯医者さんに行けばいいか分からない、と悩んでいるなら、ぜひ色々な医院の公式サイトを覗いてみてください。院長の治療に対する考え方や、スタッフの紹介ページから伝わる雰囲気は、医院選びの大きなヒントになります。日本歯科医師会のウェブサイトにも「歯医者さんに行こう!」というページがあり、歯科医院を探す際の参考になりますよ。
久しぶりの歯医者。怖さを乗り越える「3つの小さなステップ」
そうは言っても、やっぱり怖いものは怖いですよね。そんなあなたのために、怖さを乗り越えるための「3つの小さなステップ」を、こっそりお教えします。
ステップ1:予約の電話で「お守りの一言」を伝える
予約の電話をかける時、ぜひ「お守り」として、この一言を伝えてみてください。
「実は、歯医者がすごく苦手で…」「怒られるのが怖くて、もう何年も行けていないんです」
この一言は、魔法の言葉です。これを聞いた受付スタッフは、「あ、この方は特に配慮が必要な方なんだな」と瞬時に理解し、院内で情報を共有してくれます。カルテに「歯科恐怖症」と書いてくれたり、一番優しいと評判の衛生士を担当につけてくれたり…。あなたが安心して来院できるよう、医院全体で準備を整えてくれるはずです。
ステップ2:まずは「相談だけ」「クリーニングだけ」で予約してみる
「歯医者=治療」と考えると、どうしてもハードルが上がってしまいます。それなら、最初の目的を「治療」から「相談」や「お掃除」に変えてみませんか?
まずは医院の雰囲気に慣れること、そして「歯医者って、意外と怖くないかも」と感じることが目的です。下の表を参考に、今のあなたに合ったプランを選んでみてください。
| 目的 | メリット | こんな人におすすめ |
|---|---|---|
| 相談・カウンセリング | 治療は一切なし。悩みや不安をじっくり話せる。 | とにかく話を聞いてほしい、何から始めればいいか分からない人 |
| 歯のクリーニング | 痛みを感じることなく、口の中がツルツル、さっぱりする。 | 治療の前に、まず「気持ちいい」体験をしてみたい人 |
| 歯周病検査 | 簡単な検査で、自分の「歯と歯茎の隙間ポケット」の状態を知れる。 | まずは客観的なデータで、自分の口の状態を知ることから始めたい人 |
ステップ3:「一番優しい先生で」とお願いしてみる(裏ワザ)
これはちょっとした裏ワザですが、予約時や受付で、「もし可能でしたら、一番優しい先生(衛生士さん)でお願いできますか…?」と、こっそり伝えてみるのも一つの手です。わがままに聞こえるかもしれませんが、患者さんからのこうしたリクエストは、医院側にとっても「患者さんの不安を和らげるための重要な情報」になります。遠慮なく、頼ってみてください。
「完璧じゃなくていいんです」今日からできる、お口のライフハック
ズボラさんでも続く「70点ケア」のススメ
私のモットーは、「70点でいいから毎日続けられるケア」。100点満点の完璧なケアを時々やるよりも、70点のケアを毎日続ける方が、ずっとお口の健康を守れるからです。
「昨日の自分より、一本だけ丁寧に磨ければ、それで十分偉い!」
どうか、自分を責めないでください。歯磨きが面倒な日があったっていいんです。そんな日は、少しだけ自分を甘やかして、でもほんの少しだけ、頑張ってみませんか。
100均グッズでOK!柚木流・お口の強化コーティング術
私がぜひ、あなたの毎日に取り入れてほしいのが、「フッ素」です。フッ素は、いわば「歯の強化コーティング剤」。歯の表面を酸に溶けにくい丈夫な性質に変えて、虫歯を予防してくれます。お皿洗いで言うところの、汚れがつきにくくなるコーティング加工のようなものですね。
高価なものである必要は全くありません。最近は100円ショップでも、フッ素がしっかり配合された歯磨き粉やジェルが手に入ります。いつもの歯磨きに、ほんの少しプラスするだけで、あなたのお口の防御力は格段にアップしますよ。
どうしても面倒な夜は…これだけでもやってみて!
疲れて今すぐベッドにダイブしたい…そんな夜もありますよね。でも、寝ている間は唾液の量が減って、お口の中は細菌が一番繁殖しやすいゴールデンタイム。ここで「細菌の塊うんち(プラーク)」がやりたい放題になると、虫歯や歯周病のリスクが一気に高まります。
どうしても歯磨きが無理な日は、せめてこれだけ!「歯と歯の間に、フロスを1回通す」。これだけでも、細菌のエサになる大きな汚れを取り除くことができます。枕元にフロスを常備しておくのが、ズボラさんでも続くコツですよ。
まとめ
長い時間、お付き合いいただきありがとうございました。最後に、今日お伝えしたかったことを、もう一度振り返らせてください。
- 「歯医者で怒られるのが怖い」という気持ちは、決して特別なことではなく、多くの人が抱える自然な感情であること。
- 私たち歯科衛生士は、あなたを責めたいのではなく、勇気を出して来てくれたことを心から歓迎し、サポートしたいと思っていること。
- いきなり治療が怖ければ、まずは「相談だけ」「クリーニングだけ」という、小さな一歩からで大丈夫だということ。
- 完璧な100点を目指すのではなく、頑張りすぎない「70点ケア」を続けることが、未来のあなたの「おいしい」を守ることに繋がること。
お口の健康は、人生の「おいしい」を守ること。そして、歯医者は「痛くなってから行く場所」ではなく、「美容院に行くような感覚でケアを楽しむ場所」に変えていけるはずです。
あなたのペースで、また一歩を踏み出せる日が来ることを、保健室の先生のように、いつでも待っていますね。