ライターの個性はどこまで必要?「早さ」「正確さ」の次に大切なこと

ライターの個性はどこまで必要?「早さ」「正確さ」の次に大切なこと

世の中「ライター」という仕事をしている人は五万といます。特に何の資格がなくてもライターにはなれてしまいますが、実績がなければただの自称。仕事の大小に関係なくひとつずつ実績を積み重ねていくしか、ライターとして認められる方法はありません。

文章というものは、別にプロでなくても書けるもの。プロとして認められるには「仕事が早い」「仕事が正確」であることが重要ですが、実は「個性やセンスが光る」ことも評価のひとつ。

とはいえ、文章の中で個性やセンスを出すのは容易なことではありません。ビジネス的な原稿やコピーライティングといった種類の文章の中に奇をてらった個性はタブーだし、ゴーストライターのような仕事の場合は、著者となる相手の個性を投影させることが重要で、あなたの個性を出すことはできません。

では、どういった場面であなたの個性やセンスを生かすことができるのでしょうか。

■編集担当やクライアントとの接し方

昨今、ライターの仕事はメールだけのやりとりで完結するものも少なくありません。しかしその文面やレスポンスの速さに信頼度は表れます。会って打ち合わせるならなおのこと、人柄や相性を意識してしまうのはあなただけではなく相手も同じ。

どんな仕事でもそうですが、仕事で直接接する相手は人間です。担当者やクライアントとのコミュニケーションは互いに気持ちよく進めたいもの。スケジュールや進捗といった業務連絡にとどまらず、得意分野や苦手なことも率直に伝えてみましょう。

プライベートの近況なども話題の中にさりげなく盛り込み「あなた」という人物をより理解してもらうことで「だったらこういう分野を書いてもらおう」と仕事の幅が広がるかも。 媚を売るのではありません。オープンマインドで接することが相手との信頼に繋がるのです。

 

■ブログやSNSでキャラクターをアピール

ライターや作家の中には「タダで文章を書くなんて」と思う人もいるようですが、自主的に発信できるブログやSNSは、ライターとしてのあなたをアピールする格好の媒体です。まだ利用していない人は、すぐにでも登録・開設してみましょう。

いろいろな制約のある仕事の原稿とは違い、ブログやSNSには一投稿における文字数制限を除けば何を書こうが自由です。読者やファンに向けて掲載媒体の告知するもよし、あなた自身を知ってもらうために近況を伝えるもよし。自由な媒体だからこそ、仕事では(まだ)書けないテーマのコラムを発信することもできます。

百聞は一見に如かず。「こんなものも書けます」というアピールは、読める文章として自主的に発信してしまうのが一番です。誰でもアクセスできるWeb媒体だからこそ、仕事に結びつくかもしれない業界の人間が目にする可能性もあります。

しかし、ライターとして作ったアカウントでの発信においては「(ライターとして)これを書いていいものか」意識することを忘れずに。 不特定多数が読む場というのは「公共」です。たとえばパートナーの愚痴やモンスター的な発言は、その人の品位を疑われかねません。その見極めもできてこそ、プロのライターです。

 

■作家になれば個性で勝負できる

微細な個性は、読み手にはわかっても書いているあなた自身にはわかりにくいもの。しかし句読点や改行の使い方といったリズム(読みやすさ)など、何気なく書いている文章そのものにあなたの個性(文章のクセ)は表れています。

依頼された原稿においては、文体の使い分けや言葉の使い方(男性らしさや女性らしさ、硬さや柔らかさ、厳しさや優しさ)にセンスが問われます。ことわざや四字熟語、哲学や心理学など説得材料として引用する言葉の選び方にも個性は表れます。

「もっと個性の出せる原稿が書きたい」 そう思うのであれば、クレジット入り、かつライターとしてあなたの個性を求められるようなコラムやエッセイを書ける“場”を獲得するしかありません。

自著を出版しライターから作家という立場へシフトすれば、いくらでも個性を発揮することができます。作家は個性勝負。個性がなければ作家として活動し続けることは困難といっても過言ではありません。

+ + + + +

ライターとしてのあなたの個性は何ですか? 勝負できるセンスはありますか?

そう問われて「うーん」と首をひねってしまう人もいるでしょう。

しかし「あなた」という個人が世界にひとりしかいない以上、あなたらしさは文章からも滲み出ているはず。 ライター活動をする中で発揮できる個性は文章だけにとどまりません。まずは自分らしさを殺さず、いい仕事をするよう心がけることから意識してみてはいかがでしょうか。

 

 

著者プロフィール

著者アイコン
島田佳奈
作家/女豹ライター/AllAbout恋愛ガイド。豊富な体験と取材から得た“血肉データ”による独自の恋愛観が定評。『人のオトコを奪る方法』(大和書房刊)他著作多数。新刊『アラフォー独女の生きる道』(双葉社刊)発売中。

 

関連記事