
TECHNIQUE
筆が速い人に学ぶ、文章を効率的に書くための4つのヒント
ライターとなれば、文章の執筆速度は速いに越したことはありません。同じ記事単価、あるいは文字単価であれば、速く書けるほど時間単価が上がるためですね。
また、仕事というのは不思議なもので、ぱったり依頼が無くなったかと思うと、申し合わせたようにあちらこちらから同時に依頼が来るものです。そんなときは、素早く書き上げることで乗り切るしかありません。
実は筆者が文章を素早く書くためのコツもしくは「手法」を身に付けたのは、フリーライターになってからではなく、会社員時代でした。
筆者はかつて、文章を書く事がかなり遅かったのですが、大量の文章を書かなければならない部門に異動になり、必要に迫られて素早く書く手法に出会ったのです。
そこで今回は、文章を書くのが速い人の特徴について、筆者なりに考えてみました。
ポイント1:「作文」の習慣を卒業する
文章を書くのが遅い人は、小学校以来教わってきた「作文」の習慣に捕らわれているかもしれません。そのため、文章を書くときは、頭から順番に書くものだという習慣が無意識に残っています。
また、作文では見出しを付ける方法も習いませんので、本文だけの長い文章を一息で書こうとして苦労します。
一方、書くのが速い人は、「作文」の習慣に捕らわれていません。出だしの文章が浮かばなければ後回しにして、書きやすいところから書き出します。
また、見出しで区切りを付けて文章全体を細かな部品に分解して書いていますので、例えば2,000文字程度の記事であれば、一息に2,000文字書くのではなく、500文字の文章を4つと書くという方法を採ります。
実際、Web上では1記事が1,500~2,500文字くらいのボリュームのものも多いですが、そのほとんどは3~5程度の見出しで分割されています。これは読みやすいと同時に書きやすい形なのですね。
ポイント2:最初にアウトラインを考えてから情報収集する
書くのが遅い人は、いきなり文章を書き出してしまいます。そしてすぐに行き詰まって書けなくなってしまいます。
しかし、書くのが速い人は、まず全体のアウトラインを考えます。アウトラインとは、文章全体の構成ですね。
例えば先日、筆者は某IT系企業のオウンドメディア用に連載するコラムを書いていたのですが、その一つに『(仮)ABCシステムの導入で失敗するパターン』といったテーマのコラムがありました。
ところが、筆者はABCシステムについては十分な知識がなかったため、このようなコラムは調べながら書くことになります。そのため、この1,500~2,000文字でおさめる記事をいきなり書き出そうとすれば、かなり苦労するはずです。丸一日かけても書けないかもしれません。
そこでまず、アウトラインを作ってしまいます。テーマに関する情報をWeb上で調べながら、アウトラインを書き出してしまうのです。
この文字数のコラムでは、見出し・本文の2階層で十分ですので、アウトラインとしては見出し案を書き出せれば良いでしょう。ただし、見出しの下に本文のアイデアを箇条書きでぶら下げてメモしておくと、あとで本文を書くときに楽になります。
下のサンプルでは、「●」部がアウトラインとしての見出しで、「・」部は後で本文を書くためのアイデアとしての箇条書きです。
あとはこのアウトラインを見出しとして、その下にメモしておいた箇条書きを本文化することで、素早くコラムが書き上がります。いかがでしょうか。アウトラインを作成してみると、書くことが明確になります。
ポイント3:思考整理の手法を持つ
書くことが遅い人は、考えをまとめるために四苦八苦します。それは考えを整理する手法を知らないためです。
一方、書くことが速い人は、なんらかの思考整理の手法を身に付けています。
筆者の場合は試行錯誤の末、前述のようにアウトラインを作成することで思考整理する手法を身に付けました。
しかし、私の知り合いのライターの一人は、別の思考整理法を利用することで素早く書いています。
彼が利用していたのはマインドマップ[i]です。といっても紙に手書きで描いていたのではありません。マインドマップ系のフリーウェアを使って素早くパソコン上でマインドマップを作成しながら、思考や情報を整理していたのです。
つまり、文章が速い人は、なんらかの思考整理の手法を持っているということです。KJ法のような手法を使う人もいるでしょう。
もちろん、それらの手法を使わずに、いきなり文章を完成させてしまう天才型の人が存在することは確かですが、彼らから手法を学ぶことは難しいでしょう。
ポイント4:ツールを有効活用する
文章作成が遅い人は、ワープロソフトを単なる「清書機」としてしか活用できていません。
一方、文章作成が速い人は、ワープロやほかの文書作成用ソフトを単なる清書機ではなく、「思考支援ツール」として活用します。
Wordや一太郎をはじめとする主なワープロソフトには、アウトライン機能が搭載されています。それらのアウトライン機能は、思考整理をしながら効率的に文章を作成するための支援機能なのです。
ワープロソフトでは多機能過ぎるし動作が重くて面倒だ、という人には、アウトラインプロセッサーまたはアウトライナーと呼ばれる、シンプルなソフトもあります。
「アウトラインプロセッサー」または「アウトライナー」で検索すれば、多くのフリーウェアを見つけることができますので、自分の好みに合うソフトを見つけてください。
まとめ
以上、文章を書くのが速い人の特徴を筆者なりに考えてみましたが、いかがでしたでしょうか。
今回紹介しました文章作成の手法は、Webコンテンツの執筆に限らず、ビジネス文書や論文、あるいは書籍の執筆にも応用できる手法です。
今より素早く効率的に文章を書きたいと考えられている方は、ぜひとも参考にしていただき、書く事を加速させてください。
著者プロフィール

- 地蔵重樹(ハンドルネーム:しげぞう)
- ライター。ブックライティングを中心に、Webマガジンや企業のオウンドメディア、リードナーチャリング用のe-bookなどを執筆している。オカルトから経済・テクノロジーまで守備範囲が広いが、グルメとスポーツのお仕事はお断りしている。趣味は読書と、愛猫と一緒にソファーで昼寝すること。
