記事執筆の基本!速く、正確にアウトラインを作成するには?

記事執筆の基本!速く、正確にアウトラインを作成するには?

「アウトライン」って知っていますか? そうです、イラストなどの輪郭の意味ですね。しかしアウトラインは、文章を作成する際にも使われる用語です。

WEBサイトの記事を作成するときにも使われますし、ビジネス文書や論文、あるいは書籍といった長文の作成にもアウトラインは使われています。特に長文になるほど、アウトラインを知っているかどうかが文章作成の効率を左右します。

そこで今回は、文章作成におけるアウトラインについて紹介しましょう。

アウトラインって何?

多くの人が、文章作成におけるアウトラインという考え方を知りません。私たちは小学校から「作文」を習いますが、これは原稿用紙の升目を順番に文字で埋めていく習慣を身につけさせる授業と言えます。そこでは「頑張って」書くことは教わりますが、「効率的に」書くテクニックは教わりません。

しかし大人になってから求められるのは、レポートや論文、企画書や報告書、あるいはプレゼン資料などのさまざまな文書を効率良く作成できることです。ですからアウトラインを義務教育で教えていないことは不思議でもありますね。

アウトラインが文章を書くために便利な方法であるということは、Microsoft Wordや一太郎などの有名なワープロソフトであればアウトライン機能が搭載されていることや、アウトラインプロセッサー(あるいはアウトライナー)というアウトラインによる執筆支援ソフトが数多く流通していることからもうかがい知れます。

ですから、アウトラインを知らない人は、文書作成でかなり損をしているかもしれません。

では文章作成におけるアウトラインとは何でしょうか。簡単に言えば、文章の階層と流れを表す輪郭です。つまり、タイトル、大見出し、小見出し、本文などといった文章全体の構造のことです。

フラットな文章は読みにくいし、書きにくい

そもそもフラットな文章は読みにくいのです。フラットな文章とは、ずーっと文章が続いているだけで、大見出しも小見出しもない文章です。ですからこのコラムもそうですが、他のウェブサイト上の記事もほとんどは見出しや小見出しが入ることで文章に節目を付けて読みやすくしています。

同時にフラットな文章は書きにくくもあります。「作文」で習ったように文章を頭から平坦に書き続けると、途中で何を書いているのか分からなくなったり、本筋とは違う方向に流れていったり、あるいは次に何を書くべきだったか見失って書けなくなってしまうことがあるからです。つまり道に迷ってしまうのですね。

そこで文章を書く前に、アウトラインという道標(みちしるべ)を作ってあげることが有効になります。文章のゴールに向かうための道標として、見出しや小見出しを先に作成してしまうのです。そうすると、何をどんな順番に書けば良いのかが先に決まっているので、道に迷わずに書き進めることができるのです。

実際、このコラムもWordのアウトラインモードを利用して、先にアウトラインである見出しと本文の下書きとしての箇条書きを作成してから書き出しています。ですから、ここの文字を入力している段階ですでに最後まで何を書くべきかが決まっているのですね。そしてアウトラインを決めることができれば、かなり長い文章を書くことが容易になります。

例えば筆者はこれまで4冊の本を執筆していますが、いずれもアウトラインを作成してから書いています。そうすると1冊当たり10万字近い文章でも書き続けることが難しくはありません。実はビジネス書や実用書はほとんどアウトライン(つまり目次構成)から作られているのです。そうしなければ出版社側もどんな本が書き上がるか予想できませんし、著者も執筆途中で挫折したり方向性が変わったりしてしまうからですね。

それでは、どうやってアウトラインを作るのでしょうか。

アウトラインを作ってみよう

2000文字前後のコラムにしても、あるいはA4用紙1枚以上の企画書や報告書にしても、いきなり本文を書き出すのではなく、まずはアウトラインとしての見出しを書きだすことから始めましょう。見出しは、何を書くべきか分かれば仮の表現でもかまいません。後で修正すれば良いからです。

まず、記事なり文書なりのゴールとしてのタイトルをじっくり見てください。今から何を書こうとしているのか、改めて意識します。そして、どのような流れで説明すべきかを見出しに書きだします。

このとき、説明の順序まで考えるとなかなか見出しが浮かばない、というようであれば、とりあえずその記事や文書で説明したいことを、ランダムでかまいませんから箇条書きで書きだしてみましょう。筆者はこの作業を「ひとりブレーンストーミング」と呼んでいます。とにかく思いつくままに見出しを箇条書きで書きだしてみます。

次に書きだした箇条書きを、今度は説明しやすい順や読者が興味を持ってくれそうな順に並べ変えます。ここは想像力を働かせる作業ですね。コラムなら起承転結にしても良いですし、ビジネス文書であれば「現状の問題」「解決後の目標」「解決方法」「解決後のメリット」「スケジュール」「費用」といった汎用性の高い説明順でも良いでしょう。あるいはこれを先に説明しないと理解できない、といったことを最初に持ってくるなど、いろいろ工夫できる段階です。

どうしてもアウトライン用の見出しが浮かばない場合は、記事を作成するための伝統的なアウトラインである5W1H(最近は6W2H)の助けを借りる手もあります。順序は臨機応変に変えてかまいませんが、5W1Hに答える形で見出しを考えるのです。「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」ですね。これに「Whom(誰に)、How much(いくら)」を加えたものが6W2Hです。

アウトラインがあればどこから書き始めてもいい

さて、簡単なコラムなどであれば、見出しを書き出せればアウトラインは完成です。もう少し込み入ったビジネス文書や論文などであれば、さらに小見出しをぶら下げたり、あるいは見出しをグルーピングして章タイトルをつけたりすることになります。

このようにアウトラインとしての見出しが揃ったら、後は書きやすい見出しから本文をぶら下げるように書いて行きます。「作文」ではありませんので、書きやすいところから書けば良いのです。全体のアウトラインができていますので、どこから書き出しても道に迷うことはありませんし、次に何を書くべきか決まっていますので、今書いていることに安心して集中できます。

もし、本文を書いている内に新たなアイディアが閃いてしまったら、とりあえず見出しだけ追加しておきましょう。これが備忘録になりますので、今書いていることに集中し直せます。

いかがでしょうか。本コラムの文字数では書き足りないことが多くありましたが、アウトラインの基本的な考え方を知っているだけでも文章を書く効率が良くなるのだ、ということを知っていただければ本コラムの役目は果たせたことになります。より細かなアウトラインのテクニックなどについては、書籍などで確認しておくとさらに理解が深まるでしょう。

これからは、アウトラインを使ってサクサクと書いていきましょう。

 

  

 

著者プロフィール

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地蔵重樹(ハンドルネーム:しげぞう)
ライター。ブックライティングを中心に、Webマガジンや企業のオウンドメディア、リードナーチャリング用のe-bookなどを執筆している。オカルトから経済・テクノロジーまで守備範囲が広いが、グルメとスポーツのお仕事はお断りしている。趣味は読書と、愛猫と一緒にソファーで昼寝すること。

 

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