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「編集者」の仕事とは? ——メディアによって守備範囲はさまざま
編集者の役割とは何でしょうか? ひとことで言うと、書き手と読者の橋渡しを担うのが編集者の仕事です。どんな読者に何を伝え、どういう価値を生み出していくのか――。そうした発想で編集者には、書き手の得意分野や持ち味を考えながらコンテンツを生み出していきます。
ライターの立場から見れば、編集者ときちんとコミュニケーションを図り、うまくつきあっていくことが、いい原稿を書くうえでとても重要です。そこで編集者の役割について、少し掘り下げて考えてみましょう。
書き手と読者の橋渡しといっても、実際に編集者がどんな仕事をしているかは千差万別。メディアによって、編集者の役割は実にさまざまです。
書籍の編集者
たとえば紙メディアの場合、書籍と雑誌の編集者ではずいぶん役割がちがいます。書籍の場合、編集者はひとりの著者(共著の場合でもせいぜい2〜3名の著者)と、ある程度長期にわたり、じっくりつきあうことになります。1冊の本ができあがるまでには、執筆依頼から短くても半年程度、長ければ1〜2年かかることはざらで、場合によっては数年におよぶこともあります。
著者の執筆中、編集者はただ待っていればいいわけではありません。執筆に必要な資料探しを手伝うこともあれば、とくにノンフィクションの場合なら、取材やインタビューの段取りをし、同行する機会もあります。著者の筆が乗らないときは、何くれとなく励ましたり相談に乗ったり、場合によってはおしりを叩いたり。書き手の伴走者となって、本の執筆という長旅を伴にする根気が求められます。
雑誌の編集者
一方、雑誌の場合は、週刊や月刊などの刊行頻度によりますが、執筆依頼から取材、原稿確認などを比較的短いサイクルで回していくことになります。専属や常連のライターでなければ、編集者とじっくりつきあうことはないかもしれません。
また、一般に雑誌はビジュアル要素が強いため、取材時のカメラマンや、場合によってはイラストレーターなど、雑誌編集者がつきあう相手はライター以外にも多岐にわたります。常に多くの外部スタッフにタイミングよく指示や依頼を出しながら、締切に間に合うように慌ただしく仕事を進めることになります。
今回は「編集者」という職能が確立されている紙メディアを例に、その役割を見てきました。次回はウェブメディアでの編集者のあり方と、ライターから見た編集者とのつきあい方を考えます。
著者プロフィール

- 小島和子
- フリーランスで編集・執筆・出版プロデュースを手がける。最初に勤めた出版社では、語学書や旅行記など、異文化にまつわる書籍の編集を担当。環境をテーマにした本づくりをきっかけにキャリアチェンジし、政府系機関やNGOで環境問題に関する情報発信に携わるなど、出版業界以外の経験も豊富。近ごろは東北復興の取材で現地に足を運ぶ機会も。分担執筆した著書に『つながるいのち―生物多様性からのメッセージ』がある。
