あなたの文章には「骨」がありますか?文章力の磨き方

あなたの文章には「骨」がありますか?文章力の磨き方

文章と一口にいってもいろんな形態があります。

たとえば小説。小説にはストーリーとテーマ(メッセージ)が必ずあります。そのどちらかが欠けたら、それはもはや小説の体をなしていません。 あるはずのものがない小説(のようなもの)を読んだ人は「いったい何が言いたかったのか、よくわからなかった」という感想しか残らないでしょう。

ライターの書く文章のほとんどは記事です。コラムにしろニュースにしろ情報記事にしろ、それらの文章には必ずテーマ(伝えるべき内容)が存在します。 もし同じテーマを規定の文字数で複数のライターに書かせたとしら、似たようなものになることはあってもまったく同じものにはなりません。そこにはライターの力量(情報量、文章力)のみならず、そのライターの持つセンスや個性が表れます。 (個性については別コラムで掘り下げるため、今回は割愛します)

センスについては持って生まれた要素が大きい=磨くのは容易ではありませんが、力量は努力次第で向上できるもの。

文章そのものは、別にライターじゃなくても誰でも書けるものです。実際、趣味でブログを書いているだけの人でもプロ級にうまい人はたくさんいます。逆に言えば、ライターなんて特に資格があるわけじゃないし、名刺の肩書に「ライター」と入れれば、明日からでもライターを自称することができるのです(笑) (もちろん実績を積まなければ、世間からプロと認められませんが)

たとえばプロとアマチュアの境目をゼロとして数値化すると仮定します。 プロ級の上手な文章をプラス、アマチュアレベルの粗末な文章をマイナスだとして、あなたの文章は何点あたりでしょうか。

たとえ自己評価では5点くらいに位置すると思っても、クライアントや編集担当者から見たら「素人と変わらないレベル=0点」だと評価されているかもしれません。

文章の骨となるテーマ。記事執筆のオファーを請ける際に細かく提供されることもあれば「ペットに関する800字くらいの記事を数本」のようにざっくり提供されるだけのこともあります。

テーマをわかっているならば「骨はどこ?」な文章になるはずがありません。 しかし中には首をかしげるような記事に仕上げてしまう人もいます(たとえプロであっても!)。以下にそのケースを挙げてみます。

■コンニャクな文章

字のごとく「骨」がない文章のこと。柔らかい文体は読みやすいものの、骨も肉付けも感じられない。しかもアクだけは強い(笑)

しかし、柔らかくて透明感のあるコンニャクになれば、あとは田楽のように串を一本刺せばいいだけです。串(骨)だけはなくさないよう意識して。 アクの強さは媒体によっては魅力になるし、作家としてエッセイやコラムを書く分には個性になるのですが、ライターとして広告やニュース媒体に無記名記事を提供する場合は「まずさ」になりかねません。世に出ている記事をたくさん読み、アク抜き術(個性を薄め感情を交えず平たい文章にする)を勉強しましょう。

■小石のような文章

骨がどこにあるのかわからないほど固い(堅い)文章のこと。熟語の羅列や故事ことわざの濫用は一見知的に見えますが、読む側にしてみれば難解だったり堅苦しさを感じずにはいられません。 専門書や論文のような読む人を選ぶ文章は、一般に公開(掲載)される記事には不向きです。しかも一石を投じるほど大きくもない小石では、何を伝えたいのかわからなくなってしまいます。

小石的な文章を改善するには、文章以前にライターとしての姿勢を再考すること。

ライターは別に特別な仕事ではありません(笑)文章でお金をもらったことのない他の職業の人からは「すごい」と称賛されるかもしれませんが、ライターなんて上にも書いたように自称でもなれるのです。その中で優劣をつける材料はいろいろあれど「賢そうな文章を書く」ことは決して評価されないことを、まずは肝に銘じて。

いい文章の基本は読みやすさ。時事ネタの解説が定評の池上彰さんの話し方のように、難しいことをどれだけ多数の人にわかりやすく示せるかもライターの力量のひとつです。

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まだライターとしてビギナーな方は、いい文章を書くことを意識するより、まずは「よくない文章」を理解し、マイナス点をひとつでもなくすよう心がけること。 マイナス点となる材料が減れば、あなたの文章は格段にプラス評価となるはず。その積み重ねが文章力を磨いていくのです。

 

 

 

著者プロフィール

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島田佳奈
作家/女豹ライター/AllAbout恋愛ガイド。豊富な体験と取材から得た“血肉データ”による独自の恋愛観が定評。『人のオトコを奪る方法』(大和書房刊)他著作多数。新刊『アラフォー独女の生きる道』(双葉社刊)発売中。

 

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