美容系ライター必見!薬事法の回避表現~健康食品(サプリメント)編~

前回の化粧品編に続き、今回は「健康食品(サプリメント)」が絡む案件での薬事法(※)の回避表現についてお伝えします。「美容系ライティングで注意するべき10の『薬事法』NG表現」でも触れましたが、健康食品(サプリメント)は化粧品や医薬品とは違い、それ自体が薬事法 の規制対象となっているわけではありません。ただし、医薬品のような印象を与えると薬事法に抵触すると判断されるので、同様に配慮が必要です。

今回は、乳酸菌のサプリメントを例にとり、回避表現について考えてみましょう。

(※正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」ですがここでは馴染みのある「薬事法」という言葉を使います。2016/07/25追記)

こんな表現はNGに!

サプリメントと一口にいっても、その種類は実にさまざま。配合成分も多種多様で、ほとんどが美容面や健康面でのメリットをねらったものです。ただし、医薬品とは異なるため、基本的に病気を治癒したり、予防したりする効能があるとうたうことはできません。
サプリメントはあくまで健康食品のひとつです。「普段の食事で足りない栄養素を補い、健康維持をサポートするためのもの」であることを忘れないようにしましょう。

<文例>

乳酸菌を毎日の健康に役立てたいのなら、サプリメントが一番手軽で安心です。乳酸菌は、私たちの身体にとってよい働きをする善玉菌の代表格。毎食後に服用すれば、腸内環境が改善でき、頑固な便秘も治ります。また、便秘だけでなく、花粉症や喘息にも効果があるといわれています。

<考察>

健康食品のなかでも身近なサプリメント。見た目からして薬をイメージさせるパッケージが多く、サプリメントを購入する場合、なんらかの効能を期待している人が多いものです。だからこそ、無責任に安心感を与えたり、根拠のない効果を断言したりすることは避けましょう。

以下、注意したい表現をあげていきます。

NG表現1:「乳酸菌を毎日の健康に役立てたいのなら、サプリメントが一番手軽で安心です。」

「一番」「安心」という言葉の安易な使用は控えたいところ。もし乳酸菌を毎日の健康に役立てたいのなら、まずは食事での摂取が基本です。サプリメントは、食事で補いきれないときのサポート役。表現方法には十分注意しましょう。

NG表現2:「毎食後に服用すれば、腸内環境が改善でき、頑固な便秘も治ります。」

「毎食後」といった時間を指定した表現は、医薬品を連想させるのでNGです。「食品なので基本的にはいつでも大丈夫だけれど、食後は消化・吸収されやすいですよ」という、指定ではなくおすすめの表現ならOKになる場合も。

また、サプリメントのパッケージには、「お召し上がり方」といった表記で摂取量の目安が記入されていることがあります。成分のなかには、過剰な摂取を避けたほうがよいものもありますので、対象となる商品の注意事項も確認しておきたいところ。改善や治癒を示す表現も、医薬品的な効能効果にあたるので控えましょう。「服用」という言葉も、医薬品を連想させるためNGです

NG表現3:「便秘だけでなく、花粉症や喘息にも効果があるといわれています。」

確かに、乳酸菌とそうした疾患との関係について研究が進められているかもしれません。ただし、ここで言及すると、乳酸菌のサプリメントがその効能効果をもつような誤解を与えてしまうため、避けたい表現です。

以上、一般的なサプリメントについての「NG表現」をお伝えしましたが、「特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の場合は、指定された機能についての言及が許されることも。ただし、記事内での取り扱い方はなかなか難しいので、またの機会にお伝えしたいと思います。

薬事法への抵触を回避するリライト例

もっとも、このままだと、「じゃあ、何を書けばいいんだ!」となってしまいかねません。そこでいま一度、記事内で伝えたいことを整理してみましょう。

  • 乳酸菌が毎日の健康に役立つ。
  • 食事で補うのが難しい場合は、サプリメントでの摂取も方法のひとつ。

伝えたいのはこの2点です。どのようにリライトすれば、薬事法への抵触を避けつつ、上手に伝えられるのでしょうか。

<リライト例1>

乳酸菌を毎日の健康に役立てたいのなら、まずは食事の見直しから始めましょう。乳酸菌は、私たちの身体にとってよい働きをする善玉菌の代表格。食事での摂取が難しい場合は、サプリメントを活用するのもよい方法です。

<考察>

これは一例なので、商品の特性やクライアントによって、どこまで言及できるかの線引きは変わります。なかでも、「便秘」「腸」「腸内細菌」といった身体のトラブルや特定の部位の扱いは、特に難しいものがあります。おさえておきたいのは、サプリメントはあくまでも普段の食事で足りない栄養素を補う食品だということ。つまり、言及できるのは、基本的に健康を維持することまでなのです。その範囲を超えず、上手にメリットを伝えられるといいですね。

よりスムーズにアピールするには?

さて、今回もよりスムーズなリライト例について考えてみましょう。リライト例1では、薬事法に抵触することはありませんが、どこかもの足りない印象です。そこで、少し表現を足して内容に厚みをもたせてみましょう。

<リライト例2>

乳酸菌は、ヨーグルトやチーズだけでなく、日本人に身近な漬け物やみそ、しょうゆなどにも含まれています。乳酸菌を毎日の健康に役立てたいのなら、まずは食事の見直しから始めてみましょう。乳酸菌は、私たちの身体にとってよい働きをする善玉菌の代表格。身体の内側から健康維持をサポートしてくれます。もし食事だけで補うことが難しい場合は、サプリメントを活用するのもよい方法です。

<考察>

化粧品編に引き続き、元の文例からはかなり文章が変わっている印象ですが、伝えたいことは同じです。「腸」「おなか」など特定の部位への言及は、医薬品的な表現ととられることもあるため、「身体の内側」という表現を使用しました。ここでは便秘について触れていませんが、もし言及するなら「スッキリした毎日」「スッキリをサポート」という表現を使う方法も。「スッキリ」と聞くと、なんとなく便通をイメージしますよね。

薬事法と聞くとなんだか難しそうで、拒否反応を起こしてしまうかもしれませんが(正式名称はもっとお堅く長い名前です)、実は隠れた名コピーがたくさんありますので、広告やCMで探してみるのもなかなかおもしろいですよ。

薬事法を活用して、誠実な記事づくりを

薬事法は、消費者を守るためのもの。これを飲みさえすれば大丈夫と思わせて受診の機会を奪い、健康を損ねる結果を招いてはいけません。その一方で、ひとつのサプリメントや健康食品を開発するまでに、各企業は想像以上に長い年月をかけ、努力を重ねています。乳酸菌を例にとってみても、ひとつの株を発見するだけでも大変ですが、そこから商品にするまでにはさらに長い年月がかかるのです。

私たちライターは、ときに企業と消費者との橋渡し役になります。どちらに対しても誠実であるために、薬事法を避けるというより、むしろ私たちも薬事法を上手に活用する必要があるでしょう。

健康食品(サプリメント)については、薬事法だけでなく、「食品表示法」「食品衛生法」「健康増進法」「景品表示法」の視点からの確認も必要になります。というと、ますます難しいイメージをもたれるかもしれませんが、病気を改善したり予防したりするのではなく、あくまで健康維持に役立つものという認識で執筆すれば、きっと誠実な記事づくりにつながると思います。新聞広告で大きく扱われていることが多いので、そのあたりもこまめにチェックするといいですね。

 

著者プロフィール

著者アイコン
藤田幸恵
医学書の出版社勤務を経て、フリーランスのライター・エディターに。得意ジャンルは、美容・医療・薬事関連。企業の広報やECサイトの各種ライティング、紙媒体の出版物に携わる。好きな場所は図書館。苦手な場所はサウナ。

 

関連記事