ギャラ交渉ができるライターになるための3つの考え方

フリーランスが勤め人と大きく違う点の1つが、頻繁にギャラの交渉をしないといけないことですね。組織に守られているわけではないフリーランスは、気をつけないと安く買いたたかれるはめになりかねません。まっとうなギャラを得るために必要な、3つの考え方をお伝えしましょう。

1. 原稿料をめぐるコミュニケーションのツボ

新しいクライアントと初めて仕事をするとき、まず確認すべきは仕事の内容、スケジュール感、そしてギャラです。相手が最初に原稿料をきっちり提示してくれる場合はいいのですが、「こんな感じの仕事だと、大体いくらぐらい?」と聞かれることもあります。さすがに「いくらでもいいですよ」なんて答える人はいないでしょうが、なんとなく相手のペースにゆだねてしまい、不本意な額で引き受けてしまった経験を持つ人も多いのでは?

ここはひとつ、毅然とした態度で「通常はこれぐらいでお請けしています」と自分の基準を示しましょう。先方の言い値で請け負うクセがついてしまうと、いつまで経っても「安く使えるライター」と見なされてしまいます。

ただし、あまりに相手の想定とかけ離れた額を提示すると、結局は値切られたり、「そんなに高いなら頼めない」と、仕事の機会自体を逃したりしかねません。その仕事を本当に取りたい場合、お金の話でつまずいてはもったいない! 自分の基準を示しつつも、「詳しくはご相談させてください」と先方の予算感に配慮を示す意思を見せ、まずは具体的な仕事内容の話に持ち込むのがスマートです。

2. 自分の値付けは自分で

自分の基準をどう決めるか? 経験の浅い人であれば特に悩ましいところです。明確な「業界標準価格」でもあればいいのでしょうが、原稿料の相場などあってなきがごとし。それでも紙媒体であれば、古くから「400字あたり5,000円(いまどき原稿用紙換算!)」という相場感がなんとなくはあるのですが、新しいジャンルであるウェブ媒体には、そうしたゆるやかな基準さえありません。

相場がないのですから、自分の値段は自分で決めてしまいましょう。オススメなのは、柔軟に「松竹梅」の3段階ぐらいを想定しておくことです。

たとえば、

  • 松……価格面ではかなり満足。仮に仕事内容にワクワクしなくても請けておきたい。
  • 竹……自分の実力としては妥当な感じ。仕事内容や忙しさによって選べばいい。
  • 梅……正直キビシイ! が、相手の予算が少ないのは知っているから納得できるとか、まずは経験を積む意味でトライしよう、などと判断。

といった具合です。

なお、原稿料を考えるとき見落としがちなのが、実質的な仕事の手間です。たとえば、「2人の識者や専門家に取材して5,000字の原稿にまとめる」という仕事が2社であったとします。A社はテープ起こしを編集部から専門業者に外注し、B社はライターが自分でやらないといけないのであれば、A社のほうがライターの手間は少なくてすみます。つまり、実質的な原稿料はA社のほうが上、と考えられるわけです。

3. 値上げを求めるなら付加価値を示そう

ギャラ交渉に際しては、むやみに「もっと上げてくれません?」と言っても説得力がありません。仕事をするうえで大切なのは、値段にふさわしい、あるいは値段を上回る価値を提供することです。クライアントに本当に喜ばれる仕事をして初めて値上げ交渉のスタートラインにつけるのです。

付加価値の見つけ方のコツは、仕事全体の流れを考えること。クライアントが自分への発注前にどんな準備をしているか(テーマを探すとか、関連事例のアタリをつけておくとか)、自分が納品した後にどんなチェックをするのか(ファクト確認のウェブサーチをするとか、ほかのライターの原稿とのバランスを見るとか)などを想像してください。そのうえで、相手の手間を省ける提案ができれば、「多少高くても、またこの人に頼みたい」と思ってもらえる可能性が出てきます。

原稿料を上げてほしい場合、最初に依頼された範囲を少し越えて「よかったら自分でここまでできますけど」と切り出し、その分を少し上乗せしてもらえる可能性を探りましょう。要は、依頼されているより一段階上流の役割を申し出ることです。言われたことしかしないのに言い値に不満を募らせても、なかなか交渉の糸口はつかめません。

まとめ

フリーで働くライターは、仕事を「いただく」立場が多いため、気持ちのうえでギャラの交渉がしにくいことは確かにあります。ですが、そこでグッと勇気を出して、自分の値付けを提案してみましょう。もちろん、相手に納得してもらえる仕事ができるのが大前提です。まっとうなギャラを得て「食えるライター」であり続けるには、買いたたたかれない結果をきちんと出し、相応の値付けを申し出ること。あまりに王道ではありますが、これにつきます。

 

著者プロフィール

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小島和子
フリーランスで編集・執筆・出版プロデュースを手がける。NPO法人企画のたまご屋さん共同代表。最初に勤めた出版社では、語学書や旅行記など、異文化にまつわる書籍の編集を担当。環境をテーマにした本づくりをきっかけにキャリアチェンジし、政府系機関やNGOで環境問題に関する情報発信に携わるなど、出版業界以外の経験も豊富。近ごろは東北復興の取材で現地に足を運ぶ機会も。分担執筆した著書に『つながるいのち―生物多様性からのメッセージ』がある。
NPO法人企画のたまご屋さん:http://tamagoyasan.net

 

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