【海外特派員レポート】アツアツどうぞ!イタリア名物・切り売りピッツァ

【海外特派員レポート】アツアツどうぞ!イタリア名物・切り売りピッツァ

イタリアに来たら一度は食べたいピッツァ。なかでもローマに来たらぜひ食べていただきたいのが、ローマ名物の切り売りピッツァです。

切り売りピッツァとは?

ピッツァというと石窯で焼いた丸型のものを想像する方が多いと思いますが、ローマではオーブンで焼かれた四角いピッツァを切り売りしているお店がたくさんあります。

「Pizza al taglio」と書かれた看板のお店では、いろいろな種類のピッツァがショーケースに並べられ、お客さんは好きなものを好きな量だけ買うことができます。ほとんどのお店にテーブル席はなく、カウンターが申し訳程度にあるのみ。みんな買ったそばから立って食べる、いわばイタリア版ファーストフードといったところです。

しかし、たかがファーストフードと侮るなかれ。鉄板でいい具合に焼かれたピザ生地はサクサクで、これが一度食べたら病みつきになるおいしさなのです。

 

切り売りピッツァのおいしいお店は?

「あそこの切り売りピッツァおいしいよ」と言われてわざわざ食べに行き、“それほどでもないな・・・”と思ったことが何度かあります。自分が以前食べておいしいと思ったところも二回目に行ったらそうでもなかった・・・、なんてことも。なぜこのようなことが起こるのか?よくよく思い返してみると、おいしくないと思った時はたいてい食事時ではない、お店に人のいない時間帯でした。

でき立てのピッツァはサクサクの生地とあつあつのソースやとろとろに溶けたチーズが、味、食感ともに絶妙なハーモニーを生み出します。しかし、5分もすると生地はソースを吸い込んでべちゃっとなり、チーズは固まってしまう・・・。温めなおしたところで出来立ての味とは雲泥の差。つまり切り売りピッツァの場合“いかに作りたてを食べるか”がおいしいピッツァを食べる秘訣であり、おいしい店とは、客がひっきりなしに来てピッツァがどんどん焼かれているところなのです。

 

混んでいる時間帯を狙うべし

でき立てが飛ぶように売れてゆく時間帯、それはズバリお昼時です。イタリア人が昼食をとりはじめる1時頃が理想的。「レストランに入るには中途半端な時間だな、そうだ切り売りピッツァでも食べようか・・・」そんな気持ちではおいしいピッツァにはありつけません。わざわざ混んでいる時間に行き、地元のサラリーマンや近所のおじさんとおしあいへしあいしながら注文してこそ本物のピッツァが味わえるのです。

 

基本に忠実に

切り売りピッツァはいろんな種類があり、最初はちょっとめずらしいものを頼みたい誘惑に駆られるでしょう。しかし、選ぶ前にピッツァの状態を注意深くみてみましょう。小さい切れはしが寂しく残っていて、お店の人が「温め直す?」なんて聞くようではダメ。何事も大げさに言うローマっ子からしてみれば、そんなピッツァは「ちょっと~、この売れ残ったピッツァ、長い時間ほっとかれて凍りついてるよ!」となるのです。

ここはやはりよく出る定番のマルゲリータ(トマトソースとモッツァレッラチーズ)かマリナーラ(トマトソースとニンニク、オレガノ)あたりを頼みましょう。もし見当たらない場合は「マルゲリータは?」と聞いてみると「あと2分で焼けるよ!」などと答えてくれます。売れ筋商品は間を置かずに店頭に出されるので、いつでもアツアツでサクサクなのです。

 

切り売りピッツァの買い方

買い方はいたってシンプル。食べたいピッツァを指さすと、お店の人が「このくらい?」と聞いてくれます。ちょうどよい大きさなら「Va bene(ヴァ ベーネ):いいです。」といい、小さすぎれば「Di più(ディ ピュ):もっと多く」。大きすぎなら「Di meno(ディ メーノ):少なく」と指示します。

すぐ食べる場合は「Mangio subito (マンジョ スビト)」といえば、そのままピッツァを手渡してくれ、持ち帰るなら「Porto via(ポルト ヴィア)」というと包んでくれます。

 

熱いうちに召し上がれ!

わざわざ混んでいる時間にでき立てを買ったのですから、できればその場で食べていただきたい。お昼時のお店は芋洗い状態ですが、小さなカウンターに買ったばかりのピッツァをのせ、お隣のおじさんと仲良くスペースを譲り合いながらアツアツをほおばりましょう。

ご一緒にスップリもいかが?

こういった切り売りピッツァのお店はたいていちょっとした揚げ物も置いています。ローマはスップリというトマト味のライスコロッケが有名。中にモッツァレッラチーズが入っていてとても美味。またフィオーリ・ディ・ズッカ(ズッキーネの花のフライ、アンチョビ入り)もおいしいですよ。

おいしいものを食べるには、やっぱりちょっとは苦労しなくっちゃ。でもそんな体験も楽しい旅の思い出になるに違いありません。ローマに来た際にはぜひお試しあれ。

 

海外特派員:安岡真理 環境保護団体でボランティア活動をするために来伊してはや4年。ここローマでのんびりと休日のような平日を過ごしています。

 

 

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