【イベントレポート】フリーランスの仕事とこそだてには「コミュニティ」が鍵となる時代

2015年6月13日(土)、豊島区大塚で、PENYAとRYOZAN PARK 大塚 こそだてビレッジによる共催イベント『"こそだて"と"はたらく"のバランスを考える〜フリーランス入門セミナー〜』が行われました。

(企画協力:こどもみらい探求社)

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登壇者は、PENYA編集長を務めるフリーライター歴15年の藤島由希、こどもみらい探求社の合同代表・小竹めぐみさんと小笠原舞さん。さらに、一児の母としてこそだてに励みながらフリーライターとして 『Hanako』『BRUTUS』『&Premium』などで活躍中の醍醐由貴子さんをゲストに迎え、こそだてと仕事の両立についてのトークセッションが繰り広げられました。

フリーランサーとしての成功に不可欠な"納期厳守"、"人脈"、"自己管理"

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第一部は、藤島と醍醐さんによるトークセッション。フリーランサーとして第一線で生きていくために心がけてきたことを語り合います。

醍醐「私はもともと会社員として、メディアの運営やタイアップ記事の制作を担当しながら、プロモーションの企画につなげるという仕事をしていました。そんなときに、営業への異動命令が出たのですが、私には数字を追うタイプの仕事はちょっと違うかな……と。フォトグラファーの夫も背中を押してくれて、迷いなく辞表を出しました。その後、繋がりのある方からお仕事をいただくなかで、フリーライターとして独立していきました」

藤島「私は、大学卒業と同時にいきなりフリーライターになった、ちょっと変わったタイプ。そもそも好きなことしか仕事にするつもりがなかったのですが(笑)。下積みからライター修業をしていくなかで大切にしてきたのは、"繋がり"と"納期厳守"。そして"自己管理"です。

フリーランサーとして仕事を受けたら、どんな言い訳もクライアントには通用しません。受けた仕事には全力で取り組み、早めに納品する。そして公私に関わらず、恩を受けた人が困っているときは必ず助ける。人との繋がりを大切にすることで、フリーライターとしての信頼を築いていきました。

ライターが仕事を切られるときに、本当の理由は教えてもらえない場合が多いんです。いつの間にか仕事が来なくなるものなので、人間関係、時間・体調面での自己管理にはとくに気を遣っていました」

醍醐「私は『新米ライターはどんな仕事もお引き受けするものだ』との思いから、声をかけていただいた仕事は無理をしてでも受けていた時期がありました。子どもを寝かしつけるために、睡眠時間を削って仕事をして……。その結果、体調を崩して余裕を失い、家事もおそろかになり、夫にもやさしくできないし、クライアントにも迷惑が及びかねないような状況に……。きちんと仕事を選んでコントロールするように、とフリーランサーの先輩でもある夫に諭されました」

こそだてと仕事を両立させるためにコミュニティを上手に活用する

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第二部は藤島が司会進行を務めながら、保育士経験のある小竹さんと小笠原さんに、醍醐さんがママ目線で悩みを打ち明ける形でのトークセッション。

藤島「『こどもと仕事はどっちが大切?』といった問いはアリなのでしょうか? 答えはもちろん『こども』となるのか、それとも……。結構、センシティブな領域だと思うのですが」

小竹「こそだてと仕事は両方とも大事です。『どちらか(or)』の発想でなく、『=(イコール)』だと思います。お母さん・お父さんにとってどちらも『=大事』である、と。親が心から充足を感じて暮らしていてこそ、こそだても上手くいくのだと思います。こどものために、仕事を含めて自分のやりたいことを犠牲にしなくていいんです。

ただ、仕事をすると決めたら、強い決意で臨むことも大切です。避けていただきたいのは、お母さんが『ごめんね』と謝りながらお仕事に行くこと。こどもはお母さんの罪悪感を感じ取って、余計に寂しがって泣きだしてしまいます。

『お母さんはお仕事をすると決めたの。だから応援してね』という態度で臨むと、案外こどもって理解してくれて、泣かなくなったりするんですよ」

小笠原「働きたいお母さんに対し、いまの社会の保育システムは十分とは言えないですよね。こどもを保育園に入れたくても、『正社員で仕事をしていないから』『フリーランサーだから』と断られる。そこで、子どもを保育園に入れるために、労働時間を増やさなければいけない、組織に属さねばならない……といった矛盾が生じます。そうした選択肢の少なさに疑問を抱き、新たなこそだてと働き方を模索するために、こそだてビレッジの立ち上げに携わりました。

こそだてビレッジは、フリーランサーや起業を目指している方もいれば、『ちょっと息抜きに……』と読書や編み物をするだけにいらっしゃる方もいて、自由な空間。お昼時にはみんなで一緒にランチをして、賑やかに過ごしています。

はじめは手探りで全然いいと思うので、自分らしいこそだてや仕事の仕方を見つけるために、こういった場をどんどん利用していただけたら嬉しいですね」

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醍醐「私の息子は今年の春にようやく幼稚園に入園できたのですが、それまでは息子を抱えてどうにか仕事をやり繰りしていました。『あの時期にこそだてビレッジのような場所を知っていたら!』と、今日ここへ来て実感しました。

フリーランスの仕事は責任が重くて辛くなるときもあります。そんなときに、ちょっと相談したり、こどもを見てもらったりできるコミュニティがあることは、大きな支えになると思います」

藤島「フリーライターって家で仕事ができてしまうだけに、実は孤立しがち。横の繋がりがあまりないんです。それぞれが個人事業主でありライバルでもあるので、ギャラのことやスキルアップに関して情報交換できる場がほとんどない。

その結果起こるのが、たとえば業界全体の報酬の低下。ものすごく安い執筆料を提示されても、『こんなものかな?』と引き受けてしまうんですよ。それでは仕事として長く続けていくことができないし、ライター業界全体も活性化しません。私はそこを非常に危惧しているんです。

仕事やギャランティーの悩み、スキルアップの手段や業界の最新情報を交わしあって相互利益を高めるには、これからの時代、コミュニティは欠かせないと考えています。PENYAを、そういったコミュニティとして熟成させていくつもりです」

多くの女性が、こそだて、家事、仕事と複数の役割を担い、バランスを図ることに苦心を強いられています。ましてやフリーランサーだと、孤立して弱者に追いこまれかねない状態。こうした女性やフリーランサーにとって、コミュニティの上手な活用は、よりよい働き方を実現するための土台となっていく……。

トークセッションから、このような課題と方向性が見えてきました。

グループトークで出た悩みは「介護」や「嫁業」も

続いて4〜5名に分かれてのグループトーク。「あなたにとって“はたらく”と“○○”のバランスとは?」をテーマに、それぞれが現状の悩みや課題を打ち明け、解決へのヒントをグループで考えます。

こそだてに限らず、「仕事と介護」「仕事と家事(妻・嫁業)」のバランスに苦心しているといった意見もありました。いずれも、家族、友達、同僚といった近しい人にはかえって相談しにくいセンシティブな悩みです。それを、こうして打ち明けられるだけでも、コミュニティが大いに役立つことが体現されたグループトークでした。

そして最後は登壇者、ご参加のみなさんと一緒に記念撮影!

PENYAでは、今後もさまざまな切り口でイベントを開催予定です。エディター向けの実践的な勉強会や、ライター向けのセミナーや交流会など、「こんなことをやってほしい!」というご要望もお待ちしております。

また、イベント共催のパートナーも募集しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

共催:RYOZAN PARK 大塚 こそだてビレッジ

協力:こどもみらい探求社

 

著者プロフィール

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南さくら
PENYA編集部員。大学院にて建築学・都市について学ぶ。卒業後は半年間のフリーター期間を経て2014年にInnovaに入社。Webコンテンツ制作とマーケティング戦略サポートなどを担当。クリエイティブ部の秒速キーワードプランナー。好きな食べ物、カレー。

 

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